荒神社(あらがみしゃ/こうじんじゃ)は 古昔は女人禁制 境内樹木の枝葉を採ることも禁じたと伝わり 「荒神講社」を持ち飛騨一円に多くの熱心な信仰がいる「荒神さまの甘酒祭り」は世に知られ 五穀・養蚕・殖産興業に霊験あり 『三代實録』貞觀九年(八六七)荏ノ神・『延喜式』飛騨國大野郡 荏名神社(えなの かみのやしろ)と云う

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目次
1.ご紹介(Introduction)
この神社の正式名称や呼ばれ方 現在の住所と地図 祀られている神様や神社の歴史について ご紹介します
【神社名(Shrine name)】
荒神社(Aragami shrine/Ko shrine)
【通称名(Common name)】
【鎮座地 (Location) 】
岐阜県高山市江名子町4946番地
【地 図 (Google Map)】
【御祭神 (God's name to pray)】
《主》火結神(ほむすびのかみ)
火之夜芸速男神(ほのやぎはやをのかみ)
奥津日子神(おきつひこのかみ)
奥津日賣神(おきつひめのかみ)
【御神徳 (God's great power)】(ご利益)
【格 式 (Rules of dignity) 】
・ 国史に記載される神社
〈六国史(『日本書紀』『続日本紀』『日本後紀』『続日本後紀』『日本文徳天皇實録』『日本三代實録』)に記載されている神社〉
・『延喜式神名帳(engishiki jimmeicho )927 AD.』所載社
【創 建 (Beginning of history)】
由緒由来
創祀未詳なれども、享保年間長谷川代官著飛州志に「当神社創建年代未詳。古昔より婦女社地を踏むを忌み、又境内の枝葉を採るを禁ず。之を犯すものなし。」とあり、古来崇敬厚く、特に五穀豊穣、豊養蚕の御神徳を仰ぎ、陰暦閏年十一月十八日の例祭には五穀餅、醴酒を共す。此のお供へを作るに非常に清浄を旨とし、人家を忌み、積雪中乾田の中に大庭火を焚いて、米大豆小豆粟稗の五種を混ぜた餅と焚き火の跡に一夜作りの醴酒を醸す特殊神事は他に類例なく、今なお昔ながらに奉仕してゐる。
【由 緒 (History)】
荒神社の夫婦スギ(こうじんじゃのめおとすぎ)
解説
荒神社の創始は古く、女人禁制の社地であった。神域はスギ、ヒノキ、ケヤキ、ナラなどが狭い境内に群生、繁茂している。
例祭日は陰暦閏年の11月18日であったが、新暦になってからは正月行事と重なるため、旧暦の閏年、1月中の土曜日、日曜日に行なう。この例祭はあまざけ祭りといい、珍しい民俗行事である。田んぼにしめ縄を張り、焚火で飯を炊いてその場所であまざけを仕込み、さめないようにして一夜その田んぼに置く。翌朝、発酵したあまざけの出来具合でその年の豊凶を占う。このあまざけを神社に運んで、五穀餅(米、麦、大豆、栗、小豆)とともに参拝者にふるまう。現在は、田んぼではなく上江名子公民館の前であまざけを仕込んでいる。
高山市役所HPより
https://www.city.takayama.lg.jp/kurashi/1000021/1000119/1000847/1000994/1001002.html
【神社の境内 (Precincts of the shrine)】
【神社の境外 (Outside the shrine grounds)】
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この神社の予備知識(Preliminary knowledge of this shrine)
この神社は 大和朝廷による編纂書〈六国史・延喜式など〉に記載があり 由緒(格式ある歴史)を持っています
〇『風土記(ふどき)』和銅6年(713)
『続日本紀』和銅6年(713)5月甲子の条が 風土記編纂の官命であると見られ 記すべき内容として下記の五つが挙げられています
『風土記(ふどき)』和銅6年(713)の特徴について
1.国郡郷の名(好字を用いて)
2.産物
3.土地の肥沃の状態
4.地名の起源
5.古老の伝え〈伝えられている旧聞異事〉
現存するものは全て写本です
『出雲国風土記』がほぼ完本
『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態
〇『六国史(りっこくし)』
奈良・平安時代に編纂された官撰(かんせん)の6種の国史の総称
・『日本書紀』養老4年(720)完成
・『續日本紀』延暦16年(797)完成
・『日本後紀』承和7年(840)完成
・『續日本後紀』貞観11年(869)完成
・『日本文徳天皇実録』元慶3年(879)完成
・『日本三代實録』延喜元年(901)完成
〇『延喜式(えんぎしき)』延長5年(927)完成
平安時代中期に編纂された格式(律令の施行細則)全50巻 約3300条からなる
『日本三代實録(Nihon Sandai Jitsuroku)〈延喜元年(901年)成立〉』に記される伝承
飛騨國 荏神として 神階の奉授が記されています
【抜粋意訳】
卷十四 貞觀九年(八六七)十月五日庚午
○五日庚午
地震
授ニ
讃岐國 正五位下 田村神 從四位下
伊賀國 從五位下 敢國津神
飛騨國 從五位下 水無神 荏神 槻本神 大津神 荒城神 栗原神 阿多由太神 高田神
越中國 從五位下 御田神 等並從五位上遠江國 正六位上 鴨神
飛騨國 正六位上 大歳神 走淵神 四天王神 遊幡石神 彦度瀬神 道後神等並從五位下貞観九年十月五日庚子 授ニ 飛騨國從五位下 荏名神ニ 從五位上ヲ
【原文参照】

国立公文書館デジタルアーカイブス『日本三代実録』延喜元年(901年)成立 選者:藤原時平/校訂者:松下見林 刊本(跋刊)寛文13年 20冊[旧蔵者]紅葉山文庫 https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/listPhoto?LANG=default&BID=F1000000000000047721&ID=M2014093020345388640&TYPE=&NO=

国立公文書館デジタルアーカイブス『日本三代実録』延喜元年(901年)成立 選者:藤原時平/校訂者:松下見林 刊本(跋刊)寛文13年 20冊[旧蔵者]紅葉山文庫 https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/listPhoto?LANG=default&BID=F1000000000000047721&ID=M2014093020345388640&TYPE=&NO=
『延喜式神名帳(Engishiki Jimmeicho)』(927年12月編纂)に所載〈This record was completed in December 927 AD.〉
『延喜式(Engishiki)律令の施行細則 全50巻』〈平安時代中期 朝廷編纂〉
その中でも巻9・10を『延喜式神名帳(Engishiki Jimmeicho)』といい 当時〈927年12月編纂〉「官社」に指定された全国の神社(式内社)の一覧となっています
・「官社(式内社)」名称「2861社」
・「鎮座する天神地祇」数「3132座」
[旧 行政区分](Old administrative district)
(神様の鎮座数)東山道 382座…大42(うち預月次新嘗5)・小340[旧 国 名 ](old county name)
(神様の鎮座数)飛騨國 8座(並小)
[旧 郡 名 ](old region name)
(神様の鎮座数)大野郡 3座(並小)
[名神大 大 小] 式内小社
[旧 神社 名称 ] 荏名神社
[ふ り が な ](えなの かみのやしろ)
[Old Shrine name](Ena no kaminoyashiro)
【原文参照】

国立公文書館デジタルアーカイブス 延喜式 刊本(跋刊)[旧蔵者]紅葉山文庫https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/listPhoto?LANG=default&BID=F1000000000000004146&ID=M2014101719562090086&TYPE=&NO=画像利用
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【オタッキーポイント】(This is the point that Otaku conveys.)
あなたが この神社に興味が湧くような予備知識をオタク視点でご紹介します
『延喜式神名帳(927年12月編纂)』に所載の「えなの かみのやしろ」は二ヶ所あります
①延喜式内社 美濃國惠奈郡 惠奈神社
②延喜式内社 飛騨國大野郡 荏名神社
①延喜式内社 美濃國惠奈郡 恵奈神社(えなの かみのやしろ)の論社について
・恵那神社 奥宮本社(恵那山2,191mの山頂)
・恵那神社 前宮本社(中津川市中津川字正ケ根)
②延喜式内社 飛騨國大野郡 荏名神社(えなの かみのやしろ)の論社について
・荏名神社(高山市江名子町)
・荒神社(高山市江名子町)
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【神社にお詣り】(Here's a look at the shrine visit from now on)
この神社にご参拝した時の様子をご紹介します
JR高山本線 高山駅から東南方向へ約6.2km 車での所要時間は12~15分程度
江名子川を遡るように進んでいくと社頭になります
荒神社(高山市江名子町)に参着

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社頭は 北を向いています
ここから江名子川の渓谷を渡り 対岸の山の中の社殿に向うことになります
ただし 熊が出没するらしく 音を出すカンが設置されていて だいぶ怖い参道となっています

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鳥居に一礼をしてくぐり抜けて 谷へと下りて行きます

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谷底には 江名子川の渓流が流れていて 石橋が架けられていますので 対岸へと渡ります 人っ子一人いませんので 熊への警戒から カンカンと音は鳴らし続けています

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江名子川を渡ると 二の鳥居と石燈籠が建てられていて 対岸の山肌に参道の幟旗が続いています

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二の鳥居をくぐり抜けると 正面には手水舎があります

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手水舎で清めます

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ここから山の斜面となり つづら折れになった参道を登っていきます

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辺りは 本当に静かで 渓流のせせらぎ音とカエルの鳴き声 鳥のさえずり 全くの自然 それだけに熊が気になって カンカンと音を出しながら参道を上がります

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しばらく進むと 山肌に鉄骨で足場の組まれた社殿が見えてきます

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最後のつづら折れを上がります
しかし 崇敬者が多いのでしょう こんな山中の神社であるのに 参道を埋め尽くすほどの「幟旗」が奉納されています
古昔は女人禁制 婦女の社地を踏むのを忌み 境内樹木の枝葉を採ることさえ禁じた所であったと伝わり
「荒神さまの甘酒祭り」
https://www.marukome.co.jp/amazake/amazake_festival/column/345/
で世に知られ 五穀・養蚕をはじめ 殖産興業に霊験があるため 多くの信仰があり 「荒神講社」をもち 飛騨一円にわたって熱心な信者いるとのこと

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社殿の正面には 鳥居が建てられています

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先程下から見えていた足場は 社殿の前のテラスデッキのような役割をしていました

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拝殿にすすみます

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賽銭をおさめ お祈りをします
ご神威に添い給うよう願いながら礼 鎮まる御祭神に届かんと かん高い柏手を打ち 両手を合わせ祈ります

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奉納の絵馬は全て「劔」です

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社殿に一礼をして 参道を戻ります

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下りのつづら折れ参道を 熊よけのカンカン音を鳴らしながら 下って行きます

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谷底の江名子川の渓流に架かる石橋まで戻ってきました

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社頭まで戻り 熊よけのカンカン棒を戻します
一安心です 熊に遭遇しなかったことに感謝します

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参道に立てられていた「のぼり旗」の案内板がありました

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山を下ると 日も落ちかけていました
参拝される方は 熊よけの為にも もっと明るい時間帯をお勧めします

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【神社の伝承】(I will explain the lore of this shrine.)
この神社にかかわる故事や記載されている文献などをご紹介します
『神社覈録(Jinja Kakuroku)〈明治3年(1870年)〉』に記される伝承
式内社 荏名神社について 所在は゛灘郷江名子村に在す、國人 田中紀文云、今俗に稻置(イナハギ)の森と云ふに小社ありこれ也、又森の中に大石あり゛〈現 荏名神社(高山市江名子町)〉と記しています
【抜粋意訳】
荏名神社
荏名は假字也
○祭神詳ならず
○灘郷江名子村に在す、國人 田中紀文云、今俗に稻置(イナハギ)の森と云ふに小社ありこれ也、又森の中に大石あり、
類社
美濃國恵奈郡 恵奈神社神位
三代實録、貞観九年十月五日庚午、授ニ 飛騨國從五位下 荏名神 從五位上
【原文参照】

鈴鹿連胤 撰 ほか『神社覈録』下編 ,皇典研究所,1902. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/991015
『神祇志料(Jingishiryo)』〈明治9年(1876)出版〉に記される内容
式内社 荏名神社について 所在は゛今 灘郷江名子村稻置森にあり、荒神宮と云ふ、゛〈現 荒神社(高山市江名子町)〉と記しています
【抜粋意訳】
荏名(エナノ)神社、
今 灘郷江名子村稻置森にあり、荒神宮と云ふ、〔飛州志、神名帳考、〕
清和天皇 貞観九年十月庚子、從五位下 荏名神に從五位上を授く、〔三代實録〕
【原文参照】

栗田寛 著『神祇志料』第12−14巻,温故堂,明9-20. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/815496
『特選神名牒(Tokusen Shimmyo cho)〈明治9年(1876)完成〉』に記される伝承
式内社 荏名神社について 所在は゛奈太ノ郷ノ江名子村 (大野郡大名田村大字江名子 )゛〈現 荏名神社(高山市江名子町)〉と記しています
【抜粋意訳】
荏名(エナノ)神社
祭神
神位 清和天皇 貞観九年十月五日庚子 授ニ 飛騨國從五位下 荏神ニ 從五位上ヲ
祭日 九月七日八日
社格 郷社所在 奈太ノ郷ノ江名子村 (大野郡大名田村大字江名子 )
【原文参照】

教部省 編『特選神名牒』,磯部甲陽堂,1925. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1919019
荒神社(高山市江名子町)に「拝 (hai)」(90度のお辞儀)

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