大虫神社（越前市大虫町）〈『延喜式』大虫神社 名神大・雨夜神社・小虫神社・雷神社〉

大虫神社（おおむしじんじゃ）は　崇神天皇７年（BC91）丹生岳の峯（現　鬼ヶ嶽山頂）に鎮座　垂仁天皇26年（BC4）現在地に遷座　延喜式内社　越前國 丹生郡 大虫神社〔名神大〕（おほむしの かみのやしろ）です　相殿には三つの式内社〔・雨夜（あまよ）・小虫（をむし）・雷（いかつち）神社〕が天正11年（1583）合祀された

1.ご紹介（Introduction）

　この神社の正式名称や呼ばれ方　現在の住所と地図　祀られている神様や神社の歴史について　ご紹介します

【神社名(Shrine name）】

大虫神社（Ohmushi shrine）

【通称名(Common name)】

・大虫大神宮（おおむしだいじんぐう）

【鎮座地　(Location)　】

福井県越前市大虫町21-28

【地　図 (Google Map)】

【御祭神　(God's name to pray)】

《主祭神》
　天津日高彦火々出見尊（あまつひたかひこほほでみのみこと）

《相殿神》
　水波之賣命（みづはのめのかみ）　〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雨夜神社〉
　豊玉姫命（とよたまひめのみこと）〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉
　大山祇命（おほやまつみのみこと）〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雷神社〉
　鸕（茲鳥）草葺不合尊（うがやふきあわせずのみこと）〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 若宮神社〉

《配祀神》
　大山咋命（おほやまくひのみこと）

【御神徳　(God's great power)】（ご利益）

【格　式　(Rules of dignity) 】

・『延喜式神名帳（engishiki jimmeicho ）927 AD.』所載社

・　国史記載社〈六国史（『日本書紀』『続日本紀』『日本後紀』『続日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代実録』）に記載されている神社〉

【創　建　(Beginning of history)】

大虫神社の由緒

　祭神　天津日高日子穂穂出見尊

当社は式内名神大社にして延喜式記載の大社なり。神代より当村（丹生嶽）の天領にましまし、土地かいびゃくの神にて当初は大蒸神社と称し奉る也。第十代崇神天皇七年（西暦前九一年）十一月、神地を定め給ひ、第十一代垂仁天皇二十六年（西暦前四年）国中　蝗虫多く発生、五穀人畜に害するを以て　勅使を下向、国民挙げて当社に祈願するに蝗虫悉く退滅、五穀豊作せし神徳を尊び給ひ、勅命にて七月十六日今の宮地に遷宮し、虫除守護の神威を尊み、大虫大明神の称号を賜り七十五町歩の地を御田代と定め百二十戸の社家を封納あり。
第四十二代文武天皇二年（七〇五）八月名神の官社とせられ　下りて戦国時代、新田、足利、斯波、朝倉等の諸将信仰厚く、本殿、拝殿、末社四十八社、回廊等に壮麗な大社なりしが、天正四年（一五七六）四月二十四日、柴田勝家の為に焼廃せしを太閤秀吉公再興、続いて松平越前守秀康の命により、本多伊豆守修造あり、その後代々の領主崇敬あり、奉納物多く又修造される。
天正十一年（一五八三）より式内社小虫神社（祭神 豊玉姫命）、雨夜神社、雷神社、 若宮神社を大虫神社に合祀す。

神位 正一位勲一等　村上天皇　天徳三年（九五九）四月十六日。
　天津日高日子穂穂出見尊
　豊玉姫尊正二位（一一八五）

大虫神社

現地案内板より

大虫神社　由緒

　崇神天皇７年　丹生岳（現在の鬼ヶ嶽）の峯に鎮座された。式内名神大社にして、土地開闢の神で、あらせられる。

　垂仁天皇２６年　国中に蝗虫がたくさん増えて、五穀作物を食いあらした。人々は大変困り国民挙りて神社に祈願すると、不思議にも蝗虫はことごとく退滅し、五穀豊作となる。以来人々はこの神社を五穀豊穣の神として信仰するようになった。
　この事が朝廷にも達し、いたくその神徳に感心されて、今の宮地に遷して虫除守護の神威を仰ぎて、大虫神社を称え奉った。

　文武天皇、慶雲２年８月、名神大の官社とされた。新田・斯波・朝倉等の諸将、篤く崇敬されて、天正年間までは、社領２万８千石を領し、壮麗な大社であったが、天正４年４月２４日柴田勝家のために焼廃された。
　この時、宮司、村人御神体を命をかけて丹生岳の祠に鎮め奉り、守護申し上げた。その後、豊臣秀吉によって再興、続いて松平越前守秀康の命として、本多伊豆守が修造される。以後、代々の領主、深く信仰された。

　天正１１年、小虫神社・雷神社・若宮神社を合殿に合祀した。明治８年県社に列せられた。

福井県神社庁HPより
https://www.jinja-fukui.jp/detail/index.php?ID=20160805_112850

【由　緒　(History)】

『丹生郡小誌 : 補習教育』大正6年に記される内容

【抜粋意訳】

・大虫村

本村は郡の南部に位置し、東南は南條郡、西は白山、北は城崎、吉野の各村を以て界す。
・・・
・・・〈中略〉
・・・

神社にては　縣社 大虫神社あり、往古 名神大社なりしを以て特に著名なり、天正の初までは末社四十八社、社家百二十戸、社領八千二百石を有せしが、四年四月二十四日 柴田勝家の兵燹に罹りて、悉く烏有に歸し、剩へ神領を掠奪せられしを以て、一時非常に衰退せしが、十ー年同月同日羽柴秀吉、勝家を北莊に攻め亡して、凱旋の途に就きし時、其の臣 丹羽長秀に命じて神祠を再建せしむ。
而して現今の神社は寶曆四年三月の改築に係る、

又寺院にては橫根寺 (横根観音 )名高し、
・・・
・・・〈中略〉
・・・

鬼ケ嶽は往古 丹生ケ嶽と稱す、崇神天皇七年まで大虫神社の社殿は　此の頂上に鎭座せられ、越前の名所として其の名 四方に喧傳せられたり、

萬葉集にも
　吾ひとり聞けばさびしも霍公鳥（ホトトギス）
　　丹生の山邊にいゆき鳴くかも

　まがねふく爾布のまそほのいろにでて
　　いはなくのみぞあかこふらくは
等の和歌を載す。

【原文参照】

『明治神社誌料（Meiji Jinja shiryo）〈明治45年（1912）〉』に記される伝承

【抜粋意訳】

〇福井縣　越前國　丹生郡大虫村大字上大虫

縣社　大虫（オホムシノ）神社

祭神
　天津日高日子火々出見（アマツヒタカヒコホホデミノ）尊

相殿
　虫神社（豊玉姫命）　雨夜神社（水波乃賣命）
　雷神社（大山祇命）　若宮神社（鵜草葺不合尊）

御神體は　木造の御像なりといふ、かの延喜式に、丹生郡大虫神社〔名神大〕、同神名帳考證に「大山咋神・古事記云、大山咋神 亦名 山末之大主神、丹後國大虫神社、太平記十九云、織田大虫等」と記載しある社なり、

創始は古くより當村 丹生峯に鎮座あり、其祭神 天津穂々出見尊は土地開闢なし賜ひ、神人安居せしめ給ふ、崇神天皇七年丹生ヶ嶽へ神地 御新定勅祭あり、

垂仁天皇二十六年 國中 蝗虫多く 五穀作物を害し、人民死亡するを以て、當社へ國民舉つて祈願するに、蝗虫悉く退滅し、五穀豊作せし神徳を尊み給ひ、朝廷より今の宮地に遷し、
文武天皇 慶長二年八月名神大の官社に列せられ、

稱徳天皇 大嘗會の節　當國 須伎方にト定、當郡より披穂を納むる時には、當社を齋庭とせらる、爾來 朝廷の御崇敬厚く、奉幣、祈禱、神賓、神位、勅納の事 國史に顕然たり、面して幣物は皆正税を用ひらる、
又 中古 新田、足利、斯波、朝倉等の武將信仰ありて、天正年中迄は社領八千二百石、宮司岡野、權宮司家原の二戸、社人百二十戸奉仕し、殿宇亦 宏壯輪奐の美を盡したり、

天正四年四月二十四日 柴田勝家、社殿を焼き、社領を横領なし、剰へ宮司等を刑す、故に社人等 御神體と寶物とを守護して、丹生嶽の幽谷へ潜幸し、纔（わずかに）幽祀する事八年、
時に豊臣秀吉来りて　勝家を滅ぼし、歸陣の節、臣 丹羽五郎左衛門に命じて、社頭を再建せしめ禁制札を建てらる、
續いて松平越前守秀康 修造あり、其後 福井侯、鯖江侯、府中侯の祈願所として代代崇敬ありて、寄附数多、社殿造營を加へらる、

　面して天正十一年より右 式内四社(大蟲、雨夜、小蟲、雷)を合祀し、四十八末社を左右に列祀し、以後 社殿の造營等悉く藩費を以て辨ぜられたり、

又 歸雁記に「大虫明神は彦火々出見尊にます。もとは鬼ヶ岳と云ふ山に社の立たせ給ふなるを、今の麓の里に移し奉る、延喜式神名帳に、氣比宮と此宮とを大社の數に挙げられぬ、幽にものふりたれど、尚いはれいひ残し侍り云々」、

又同註考に「古記云 大虫神社は上古は大社にて繁昌の地なり云々」とあり、當神の位階は續日本紀を始め、國史に歴然たるものにして　且つ類從越前誌、南越風土記等にも其由を委しく記せり、即ち光仁天皇 寶龜四年五月朔 大虫神為ニ 大社、同五年三月戊申 雨夜神 從五位下、十年十二月十二日 大虫神 從五位下、同十四日 小虫神 爲ニ 幣社、桓武天皇 延曆十年四月六日大虫神、雨夜神並正五位下、同月十一日 大虫神 從四位下,文德天皇 仁壽元年正月庚子 從四位上動一等 大虫大神 從三位、村上天皇 天德三年四月 從一位動一等 大虫神 正一位等見ゆ、尚繁を厭はず、

神祇志料に載する所をあぐれば、
「今 上大虫村に在り、〔越藩拾遺、神名考帳證土代、神名帳打聞、〕
　光仁天皇　寶龜十一年十二月甲辰、従五位下を授け、
　桓武天皇　延暦十年四月乙巳、従四位下に叙され、〔續日本紀〕〔〇按 本書、四月庚子條、従五位下を授くとあるは盖 衍文也、故今之を削る、〕
　醍醐天皇　延喜の制、名神大社に列る、〔延喜式〕
　堀河天皇　康和五年六月 御卜大虫神の社司 神事を穢せる祟あるを以て、中祓を科せ祓清め仕奉らしめき、〔朝野群載〕云々、

雨夜神社、今 大虫神社の内に合祀る、昔丹生嶽にありしを後 今地に遷す〔官社私考〕
　光仁天皇　寶龜五年三月戊申、從五位下を授け、
　桓武天皇　延暦十年四月庚子、從五位上に叙さる、〔續日本紀〕〔〇按 本書、従五位上を従五位下に作り寶龜の授位と重複る者恐らくは誤也、今 上文に據て之を訂す〕
　堀河天皇　康和五年六月雨夜神の社司神事を過穢せる祟あるを以て、中祓を科せ祓清め仕奉らしむ、〔朝野群載〕
　傅云ふ、彦火々出見尊を祀る、〔社傳説〕

小虫ノ神社、今下大虫村にあり、〔越藩拾遺、神社覈録〕
　傳云ふ、豊玉昆賣命を祀る、〔本社傳説〕、
　光仁天皇 寶龜十一年十二月甲午、小虫神を幣社とし〔續日本紀〕
　桓武天皇 延曆二十四年九月壬辰、従五位下授く、〔日本後記〕云々、」

かくて　明治六年社領上地、遞減祿を賜はり、同八年一月縣社に列せらる、
右の如く、古來幾多の諸書にも其名著明にして、其神威赫々として丹生嶽に鎮まり給へり、
建物は本殿、拝殿、幣殿、神饌所、社務所、神庫、手洗舍、廻廊を有し、境内六百十二坪(官有地第一種)にして、第一第二第三と島居相竝び、社内數百年を経たる老欅老杉蒼茂し、社前に宮川の清流淡々として流れ、其幽邃佳勝言に盡す可からず、
萬葉 家持の歌に「ひとりのみ聞はさむしもほとときす丹生の山邊にいゆきなくとも」とあり、
寶物は天國の太刀(光仁天皇 天應元年勅納)驛路の鈴(垂仁天皇二十六年勅使として當社へ参向せる家原氏の寄附)瓶子(稱德天皇 大嘗會 越前園悠紀方にト定の時　當社を斎庭とせられしにより勅納)等とす。

境内神社
　鹽土神社　宗形神社　祖靈社

【原文参照】

【神社の境内　(Precincts of the shrine)】

・大虫神社　社殿

・大虫神社　周辺図

・大虫神社　拝殿

・〈本殿の裏〉収蔵殿

収蔵殿

ご祭神 天津日高日子穂穂出見尊 及び摂社の塩椎の御神像の二軀が、国の重要文化財の指定を頂き二千年大祭という記念すべき時に、収蔵殿の建設には国庫補助事業として・・・
・・・

現地案内板より

重要文化財　木造男神坐像

（伝 天津日高日子穂穂出見命）（あまつひこひこほほでみのみこと）

（伝 塩椎神）（しおづちのかみ）
平成六年六月二十八日　指定

　大虫神社の主神と伝えられる天津日高日子穂穂出見命は、神像特有の素朴かつ地方色が濃い造形ながら平安時代後期（十一世紀後半ころと推定）に遡る数少ない大型の遺例として注目される像である。

　一方、摂社塩土社に祀られる塩椎神は、桧の一材から端然と坐す品格ある姿が巧みに彫成されており、洗練された作風を示している。
その彫り口は十世紀の制作とみられ、男神像の古例として重要視さ れる像である。

　神像彫刻は、仏像彫刻の影響を受けて奈良時代に登場したようであるが、現存作例は九世紀後半から見られるようになる。本像二躯は、その初期神像の数少ない遺例の一つで優れた出来栄えを示し、大変貴重なものである。

越前市教育委員会

現地案内板より

・本殿の両脇〈境内社〉塩土神社・〈境内社〉宗形神社・〈境内社〉猿田彦神社

・〈社殿向かって左 境内社〉大岩神社

・大岩〈大岩神社の神体磐石〉

大岩神社

　当社は大虫神社の奥の社と称し、古代より上大虫村（大虫村）山地字水谷に鎭座、神体磐石に座処往古より神変、奇異の神徳あり。

　後陽成天皇　慶長十三年（一六〇八）三月四日連縄を張る
　明正天皇　寛永十年（一六三三）社建立
　桃園天皇　寛延三年（一七五〇）小鳥居を建立

　大正十年（一九二一）五月一日 水谷の旧跡より現在地に遷宮す
「帰贋記」に上大虫の西の山に神という石あり。又 天狗岩ともいひならはせり。此の石 みずから動いて山下、 山上の所を変える事ありと、昔よりいひ伝えられる。

　石は又五尺四方計（約一、五メートル）有りて人力の及ぶ所にあらずとある。

大虫神社

現地案内板より

・〈境内社〉御霊社

祖霊社（御魂社）

　天正四年（一五七六）四月二十四日　当時 越前の国を支配していた柴田勝家の重臣。尾上茂右衛門の率いる大軍が 大虫神社の焼討の暴挙を行い本殿、拝殿等十数棟全てを焼き討ちした。これに立ち向い防戦した大宮司 岡野吉忠ほか権宮司、社家等百四十二柱の御魂が合祀されている。

　一方、鬼ケ嶽の奥深くへ難を逃れがため数人の社人が、ご神体を背負い奉り奥山でお守りすること八年、その後 秀吉公が再興し現重要文化財である。その ご祭神が遷宮される。

　毎年五月上旬御魂社祭を行う。

現地案内板より

・二千年式年大祭記念碑

今より二千年のいにしえ大虫神社は垂仁天皇二十六年（西暦前四年）鬼ヶ嶽の山頂より現在地に遷宮す。
　平成六年六月吉日・・・

現地石碑文より

・石神の湧水

石神の湧水

 大虫町集落西方に往古より　年中変らぬ水量豊富な湧水かある。昭和二十九年 (ー九四九)より～平成六年 (ー九九四)まで、区民の飲料水の水源として約半世紀利用されていたが、施設の老朽化を期に上水道に加入、市の工事に並行して約四百メートルの導水管を施設し神社境内の泉水に引く。

　この「石神の湧水」は今から三百五十年程前の一時期、大虫神社の宮司の館がこの地にあったことから、この地名がついたと伝えられ、石灰岩の地層を潜り湧き出る水にて、弱アルカリ性で健康によい良質の水として近隣より多くの人に愛飲されている。

大虫神社

現地案内板より

・三の鳥居

・大虫神社宮橋

登録文化財「宮橋」　平成十三年五月十六日指定

　大虫神社の境内を西から東に流れる大虫川は、鬼ヶ嶽を源流に扇状地を深く浸食して、年中清き水が流れ，宮橋とその周辺の修景は鎮守の森を一層引き立てている。この宮橋は大正八年（1919)に完成「大虫神社の眼鏡橋」といわれるアーチ型の石橋で、長さは約七・五メートル、高さ約三・五メートルで、大虫町内の石小坂地係で株石。七年の歳月を費し凍絡や雪害に耐えられる石を選び施工された。

　完成から八十五年を径ても目立った損傷もなく，当時は機械設備のない時代先人達の高度の技術は今高く評価されている。

現地案内板より

・手水舎

・二の鳥居

・一の鳥居

【神社の境外　(Outside the shrine grounds)】

・〈鬼ケ岳山頂　大虫神宮 社跡〉大虫神社 奥宮（越前市大虫町 鬼ケ岳山頂）

崇神天皇７年　丹生岳（現在の鬼ヶ嶽）の峯に鎮座された　土地開闢の神であらせられる
〈垂仁天皇26年（紀元前4年）現在地に遷座〉

この神社の予備知識(Preliminary knowledge of this shrine)

この神社は　大和朝廷による編纂書〈六国史・延喜式など〉に記載があり　由緒（格式ある歴史）を持っています

〇『風土記（ふどき）』和銅6年（713）
　『続日本紀』和銅6年（713）5月甲子の条が　風土記編纂の官命であると見られ　記すべき内容として下記の五つが挙げられています

『風土記（ふどき）』和銅6年（713）の特徴について
1.国郡郷の名（好字を用いて）
2.産物
3.土地の肥沃の状態
4.地名の起源
5.古老の伝え〈伝えられている旧聞異事〉

現存するものは全て写本です
『出雲国風土記』がほぼ完本
『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態

〇『六国史（りっこくし）』
　　奈良・平安時代に編纂された官撰（かんせん）の6種の国史の総称
・『日本書紀』養老4年（720）完成
・『續日本紀』延暦16年（797）完成
・『日本後紀』承和7年（840）完成
・『續日本後紀』貞観11年（869）完成
・『日本文徳天皇実録』元慶3年（879）完成
・『日本三代實録』延喜元年（901）完成

〇『延喜式（えんぎしき）』延長5年（927）完成
　　平安時代中期に編纂された格式（律令の施行細則）全50巻　約3300条からなる

大虫神社（越前市大虫町）は　4つの式内社の論社となっています

①越前國 丹生郡 大虫神社 名神大〈垂仁天皇26年（紀元前4年）現在地に遷座〉
②越前國 丹生郡 雨夜神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雨夜神社〉
③越前國 丹生郡 小虫神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉
④越前國 丹生郡 雷神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雷神社〉

①越前國 丹生郡 大虫神社 名神大〈垂仁天皇26年（紀元前4年）現在地に遷座〉

『續日本紀（Shoku Nihongi）』〈延暦16年（797）完成〉に記される伝承

大虫神に神階が授けられています

【抜粋意訳】

宝亀十一年（七八〇）十二月甲辰〈十四〉

○甲辰

越前国　丹生郡 大虫神
越中国　射水郡 二上神　礪波郡 高瀬神　並に 叙す従五位下を

勅して左右京（さうきょう）に曰く
比来（このかた）無知の百姓、巫覡（ふげき）を搆合（こうごう）し、妄（みだり）に淫祀（いんし）を崇む
蒭狗（ちゅうく／ちゅうこう）の設け　符書（ふしょ）の類　百方（ももかた）に怪（あやしきこと）を作し　街路に填溢（てんいつ）す
事を託して福を求め　還って厭魅（えんみ）に渉る
唯だ朝憲（ちょうけん）を畏れざるのみならず　誠に亦妖妄（ようもう）を長養す

今より以後　宜しく厳禁断すべし
もし違犯する者有らば　五位已上は名を録して奏聞し　六位已下は所司これを科決せよ
ただ患い有りて祷祀する者　京内に在らざる者は　これを許す

【原文参照】

【抜粋意訳】

延暦十年（七九一）四月庚子〈十〉

○庚子
　叙す　越前国 雨夜神　大虫神 並に従五位下を

延暦十年（七九一）四月乙巳〈十五〉

○乙巳
　叙す　従五位下 大虫神に　従四位下を　同国 足羽神　従五位下を

【原文参照】

②越前國 丹生郡 雨夜神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雨夜神社〉

『續日本紀（Shoku Nihongi）』〈延暦16年（797）完成〉に記される伝承

雨夜神に神階が授けられています

【抜粋意訳】

宝亀五年（七七四）三月戊申〈九〉

○戊申

賜ふに　諸国に私（わたくしごと）に稲（いね）を糶（米を売った）者（もの）七人に爵各一級

叙す　越前国 丹生郡 雨夜神に　従五位下を

参河国に飢あり　之（これを）賑給（しんきゅう）す

【原文参照】

【抜粋意訳】

延暦十年（七九一）四月庚子〈十〉

○庚子

　叙す　越前国 雨夜神　大虫神 並に従五位下を

【原文参照】

③越前國 丹生郡 小虫神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉

『續日本紀（Shoku Nihongi）』〈延暦16年（797）完成〉に記される伝承

小虫神に神階が授けられています

【抜粋意訳】

宝亀十一年（七八〇）十二月甲午〈辛卯朔四〉

○十二月甲午

唐人 従五位下 沈惟岳（しんいがく）に姓（かばね）「清海宿禰（きよみのすくね）」を賜ひ 左京に編附す

無位 福当王（ふくとうおう）を従四位下に授く

左右京に勅す
今聞くところに 寺を造るに 悉（ことごとく）墳墓を壊（やぶり）その石を採用すという
これはただ鬼神を侵し驚かすのみならず　実にまた子孫を憂傷す　今より以後　よく禁断を加ふ

越前国　丹生郡　小虫神（おむしのかみ）を幣社と為（なす）

【原文参照】

『日本後紀（Nihon koki）』〈承和7年（840年）完成〉に記される伝承

小虫神に神階が授けられています

【抜粋意訳】

卷十三　延暦廿四年（八〇五）九月壬辰〈廿七〉

○壬辰

奉授に　越前國　小虫神に　從五位下を

出雲國造の外正六位上 出雲臣 門起（いずものおみ　とか）授くに外從五位下を

【原文参照】

『延喜式（Engishiki）』巻3「臨時祭」中の「名神祭（Meijin sai）」の条　285座

『延喜式（Engishiki）律令の施行細則 全50巻』〈平安時代中期 朝廷編纂〉

延喜式巻第3は『臨時祭』〈・遷宮・天皇の即位や行幸・国家的危機の時などに実施される祭祀〉です
その中で『名神祭（Meijin sai）』の条には 国家的事変が起こり またはその発生が予想される際に その解決を祈願するための臨時の国家祭祀「285座」が記されています

名神祭における幣物は　名神一座に対して　量目が定められています

【抜粋意訳】

巻3神祇　臨時祭　名神祭二百八十五座

園神社一座　韓神社二座〈已上坐宮内省〉

賀茂別雷神社一座　賀茂御祖神社二座　松尾神社二座　稲荷神社三座　貴布祢神社一座　鴨川合神社一座　御井神社一座　葛野月読神社一座　木嶋坐天照御魂神社一座　平野神社四座　梅宮神社四座　乙訓神社一座　酒解神社一座〈亦号山崎神、已上山城国、〉

・・・
・・・〈中略〉
・・・

　若狭比古神社二座〈若狭国〉　気比神社七座　大虫神社一座〈已上 越前国〉

　気多神社一座〈能登国〉

　伊夜比古神社一座〈越後国〉
・・・
・・・〈中略〉
・・・

座別に
絁（アシギヌ）〈絹織物〉5尺
綿（ワタ）1屯
絲（イト）1絇
五色の薄絁（ウスアシギヌ）〈絹織物〉各1尺
木綿（ユウ）2兩
麻（オ）5兩

嚢（フクロ）料の薦（コモ）20枚若有り（幣物を包むための薦）
大祷（ダイトウ）者〈祈願の内容が重大である場合〉

加えるに
絁（アシギヌ）〈絹織物〉5丈5尺
絲（イト）1絇を　布1端に代える

【原文参照】

『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』(927年12月編纂)に所載〈This record was completed in December 927 AD.〉

『延喜式（Engishiki）律令の施行細則 全50巻』〈平安時代中期 朝廷編纂〉
その中でも巻9・10を『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』といい　当時〈927年12月編纂〉「官社」に指定された全国の神社（式内社）の一覧となっています

・「官社（式内社）」名称「2861社」
・「鎮座する天神地祇」数「3132座」

大虫神社（越前市大虫町）は　4つの式内社の論社となっています

①越前國 丹生郡 大虫神社 名神大〈垂仁天皇26年（紀元前4年）現在地に遷座〉
②越前國 丹生郡 雨夜神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雨夜神社〉
③越前國 丹生郡 小虫神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉
④越前國 丹生郡 雷神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雷神社〉

①越前國 丹生郡 大虫神社 名神大〈垂仁天皇26年（紀元前4年）現在地に遷座〉

[旧　行政区分]（Old administrative district）
(神様の鎮座数）北陸道　352座…大14（うち預月次新嘗1）・小338

[旧　国　名　]（old county name）
(神様の鎮座数）越前國　126座（大8座・小118座）

[旧　郡　名　]（old region name）
(神様の鎮座数）丹生郡　14座（大1座・小13座）

[名神大 大 小]　式内名神大社

[旧　神社　名称 ] 大虫神社（貞・名神大）
[ふ　り　が　な ]（おほむしの かみのやしろ）
[Old Shrine name]（Ohomushi no kaminoyashiro）

②越前國 丹生郡 雨夜神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雨夜神社〉

[旧　行政区分]（Old administrative district）
(神様の鎮座数）北陸道　352座…大14（うち預月次新嘗1）・小338

[旧　国　名　]（old county name）
(神様の鎮座数）越前國　126座（大8座・小118座）

[旧　郡　名　]（old region name）
(神様の鎮座数）丹生郡　14座（大1座・小13座）

[名神大 大 小]　式内小社

[旧　神社　名称 ] 雨夜神社
[ふ　り　が　な ]（あまよの かみのやしろ）
[Old Shrine name]（Amayo no kaminoyashiro）

③越前國 丹生郡 小虫神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉

[旧　行政区分]（Old administrative district）
(神様の鎮座数）北陸道　352座…大14（うち預月次新嘗1）・小338

[旧　国　名　]（old county name）
(神様の鎮座数）越前國　126座（大8座・小118座）

[旧　郡　名　]（old region name）
(神様の鎮座数）丹生郡　14座（大1座・小13座）

[名神大 大 小]　式内小社

[旧　神社　名称 ] 小虫神社
[ふ　り　が　な ]（をむしの かみのやしろ）
[Old Shrine name]（Womushi no kaminoyashiro）

④越前國 丹生郡 雷神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雷神社〉

[旧　行政区分]（Old administrative district）
(神様の鎮座数）北陸道　352座…大14（うち預月次新嘗1）・小338

[旧　国　名　]（old county name）
(神様の鎮座数）越前國　126座（大8座・小118座）

[旧　郡　名　]（old region name）
(神様の鎮座数）丹生郡　14座（大1座・小13座）

[名神大 大 小]　式内小社

[旧　神社　名称 ] 雷神社
[ふ　り　が　な ]（いかつち かみのやしろ）
[Old Shrine name]（Ikatsuchi no kaminoyashiro）

【原文参照】

【オタッキーポイント】（This is the point that Otaku conveys.）

あなたが　この神社に興味が湧くような予備知識をオタク視点でご紹介します

大虫神社（越前市大虫町）は　4つの式内社の論社となっています

①越前國 丹生郡 大虫神社 名神大〈垂仁天皇26年（紀元前4年）現在地に遷座〉
②越前國 丹生郡 雨夜神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雨夜神社〉
③越前國 丹生郡 小虫神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉
④越前國 丹生郡 雷神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雷神社〉

延喜式内社　越前國 丹生郡 雨夜神社（あまよの かみのやしろ）の論社

・大虫神社（越前市大虫町）
〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雨夜神社〉

・雨夜神社　岡本山上宮（越前市岡本町）
〈岡太神社に合祀　雨夜神社 旧鎮座地〉）

・岡太神社（越前市岡本町）
〈雨夜神社 旧鎮座地は　岡太神社に合祀〉

・雨夜神社古社地〈石碑〉（丹生郡越前町天王）
〈八坂神社 境内に鎮座 雨夜神社の旧鎮座地〉

・八坂神社（丹生郡越前町天王）
〈朝日村天屋に鎮座していた雨夜神社　現 八坂神社 境内に鎮座〉

延喜式内社　越前國 丹生郡 大虫神社（貞・名神大）（おほむしの かみのやしろ）の論社

・大虫神社 奥宮（越前市大虫町 鬼ケ岳山頂　大虫神宮 社跡）
　〈崇神天皇７年（BC91）丹生岳の峯（現在の鬼ヶ嶽 山頂）に鎮座〉

・大虫神社（越前市大虫町）
　〈垂仁天皇26年（紀元前4年）現在地に遷座〉

延喜式内社　越前國 丹生郡 小虫神社（をむしの かみのやしろ）の論社

・〈大虫神社相殿に合祀〉小虫神社（越前市大虫町）

延喜式内社　越前國 丹生郡 雷神社（いかつち かみのやしろ）の論社

・雷神社（越前市広瀬町）

・賀茂神社（福井市加茂町）

・大虫神社（越前市大虫町）
〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雷神社〉

・加茂廼神社（福井市鮎川町）

【神社にお詣り】(Here's a look at the shrine visit from now on)

この神社にご参拝した時の様子をご紹介します

ハピラインふくい線 武生駅から県道190号経由で西へ約4.2km　車での所要時間は8～10分程度

途中　

1967年（昭和42年）2月3日指定の福井県指定史跡の大虫廃寺塔跡（大虫本町の福井村田製作所の西側の敷地内）があります

大虫廃寺塔跡の由来　

　この周辺一帯は大虫扇状地の末端にあたります。いまから千三百年ほど前の奈良時代に周辺の民家を圧倒する大寺院が、この廃寺塔跡を中心に建立されていました。
　昭和四十一年（一九六六）から、これまでに四回遺跡の発掘調査が行われ、数多くの瓦などが、出土、七堂伽藍の一つである五重塔（または三重塔）の、基壇と礎石が確認されました。

　八世紀後半の頃にはこの大虫廃寺が「越前国分寺」に転用された可能性が高いと言われています。

鬼ヶ嶽と丹生の山辺

　天平勝宝二年（七五〇）四月三日に越中の国司 大伴家持（おおとものやかもち）が、越前の国府に勤務していた国司 大伴池主（おおとものいけぬし）に贈られた歌があります。
　われのみし聞けばさぶしも
　　ほととぎす
　丹生の山辺にいゆき鳴かなも
「丹生の山辺」とは鬼ヶ嶽（旧名 丹生ヶ嶽）と、地元大虫地区の山々を指しており、この辺りに池主の公館があったことを示しています。また、池主（いけぬし）が勤務していた「越前国府」も、遠くないところに置かれていたことを伺い知ることができます。

〇　古代丹生郷の地からは、ヒスイの大珠や「司人」の墨書土器が出土しており、ここからも往時の大虫を偲ぶことができます。

平成十七年三月設置　令和二年十二月改修
おおむし地区振興会
大虫郷土史クラブ

現地案内板より

大虫本町の大虫廃寺塔跡は　鬼ケ岳（海抜532メートル）の東側扇状地　下大虫の辺りです

さらに進んでいくと　大虫神社　石神の湧水まで800mの案内板あり

大虫本町の案内板

大虫神社のバス停があり　一の鳥居が建ちます

大虫神社（越前市大虫町）に参着

一礼をしてから　鳥居をくぐり抜けます

鳥居の扁額には゛大虫神社゛

二の鳥居をくぐり抜けて　境内の入口には三の鳥居が建っています

三の鳥居の扁額には゛大虫大神宮゛とあります

社号標には゛縣社　式内名神大社　大虫神社゛

拝殿にすすみます

賽銭をおさめ　お祈りをします
ご神威に添い給うよう願いながら礼　鎮まる御祭神に届かんと　かん高い柏手を打ち　両手を合わせ祈ります

拝殿の奥には　御垣に囲まれて本殿が建ちます

社殿の向かって左手には゛石神の湧水゛を引き込んだ池があります

【神社の伝承】(I will explain the lore of this shrine.)

この神社にかかわる故事や記載されている文献などをご紹介します

大虫神社（越前市大虫町）は　4つの式内社の論社となっています

①越前國 丹生郡 大虫神社 名神大〈垂仁天皇26年（紀元前4年）現在地に遷座〉
②越前國 丹生郡 雨夜神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雨夜神社〉
③越前國 丹生郡 小虫神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉
④越前國 丹生郡 雷神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雷神社〉 

②越前國 丹生郡 雨夜神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雨夜神社〉
①越前國 丹生郡 大虫神社 名神大〈垂仁天皇26年（紀元前4年）現在地に遷座〉

『神社覈録（Jinja Kakuroku）〈明治3年（1870年）〉』に記される伝承

式内社　雨夜神社について　所在は゛往昔は　丹生獄に在す、中古より下大虫村 小虫神社に並べ祀る゛〈現 大虫神社相殿に合祀 若宮神社〉と記しています

又゛岡本村に遥拝所あり゛〈現　岡太神社（越前市岡本町）〈雨夜神社 旧鎮座地は　岡太神社に合祀〉〉とも記しています

【抜粋意訳】

雨夜神社

雨夜は阿末與と訓べし

〇祭神　大虫神社御子〔官社考〕

〇往昔は　丹生獄に在す、中古より下大虫村 小虫神社に並べ祀る、岡本村に遥拝所あり、〔同上〕
大虫神社攝社也、〔同上〕

例祭　大虫社同日、

神位
　續日本紀、寶龜五年三月戊中、叙ニ 越前國丹生郡 雨夜神 從五位下、延暦十年夏四月庚子、叙ニ 越前國 雨夜神 從五位下、〔下は上の誤歟〕
　惣神分云、正一位 雨夜大明神 、

雑事
　朝野群載云、康和五年六月十日、奏龜卜御體御ト、〔中略〕坐ニ 越前國 雨夜神云々、社司等依 過ニ 穢神事 祟給、遣 使科ニ 中祓可令ニ 祓清奉仕〔下略〕宮主從五位下 行少祐卜部宿禰兼良、中臣下從五位上 行權少副大中臣朝臣輔清、

式内社　大虫神社について　所在は゛上大虫村に在す、゛〈現　大虫神社（越前市大虫町）〉と記しています

【抜粋意訳】

大虫神社名神大

大虫は於保牟志と訓べし

○祭神彥火々出見尊〔官社考〕

〇上大虫村に在す、〔同上〕

例祭　七月十六日

〇式三、〔臨時祭〕名神祭二百八十五座、〔中略〕越前國大虫神社一座、

〇永萬記、越前國大虫社、眞漆一斗、

類社
　丹後國與謝郡大虫神社　名神大

神位　大社
續日本紀、寶龜四年五月乙亥朔、爲ニ大社、同十一年十二月甲辰、越前國丹生郡大虫神叙ニ從五位下、延暦十年四月庚子、叙ニ越前國大虫神社從五位下、〔下は上の誤なるべし〕
　同月乙巳、叙ニ從五位下〔從は正の誤なるへし〕

　大虫神從四位下、文徳實錄、,仁壽元年正月庚子、奉ニ從四位勲一等大虫大神、從三位、惣神分云、正一位大虫大神、

神寶　幣帛
　續日本紀、天平二年十月庚戌、遣使奉ニ 渤海信物於大虫神宮
　日本紀略、延曆十三年九月戊戌、奉ニ幣大虫神、以 遷ニ 于新都及欲　征ニ蝦夷也、同十六年六月壬申、遣使奉ニ 幣 大虫大神、皇帝於ニ南庭親臨發、大同三年二月丙子•御ニ大極殿、祈ニ大虫大神、爲ニ天下疫氣方熾也、
・・・
・・・〈中略〉
・・・

祈雨
　續日本紀、延曆七年五月己酉、差ニ遣使於大虫社祈雨、是タ大雨、其後雨多、遠近周匝、遂待ニ耕殖 亥、　

雑事
　朝野群載云、康和五年六月十日、奏龜卜御體御卜、〔中略〕坐ニ越前國大虫神、云々、社司等依過ニ穢神事 祟給、遣使奉ニ中祓、可令ニ 祓清奉仕事、〔下略〕宮主 従五位下 行祐卜部宿祢兼良、中臣従五位上 行權少副大中臣朝臣輔清、

【原文参照】

『神祇志料（Jingoistic）』〈明治9年（1876）出版〉に記される内容

式内社　雨夜神社について　所在は゛今 大虫神社の内に合祀る、昔 丹生獄にありしを 後 今地に遷す、゛〈現 大虫神社相殿に合祀 若宮神社〉と記しています

【抜粋意訳】

雨夜（アマヨノ）神社、

今 大虫神社の内に合祀る、昔 丹生獄にありしを 後 今地に遷す、〔官社私考〕 

光仁天皇　寶龜五年三月戊申、從五位下を授け、
桓武天皇　延暦十年四月庚子、從五位上に叙さる、〔續日本紀〕〔〇按 本書、従五位上を従五位下に作り寶龜の授位と重複る者恐らくは誤也、今 上文に據て之を訂す〕
堀河天皇　康和五年六月雨夜神の社司神事を過穢せる祟あるを以て、中祓を科せ祓清め仕奉らしむ、〔朝野群載〕
傅云ふ、　彦火々出見尊を祀る、〔社傳説〕

 式内社　大虫神社について　所在は゛今 上大虫村に在り、゛〈現　大虫神社（越前市大虫町）〉と記しています

【抜粋意訳】

大虫（オホムシノ）神社

今 上大虫村に在り、〔越藩拾遺、神名考帳證土代、神名帳打聞、〕

光仁天皇　寶龜十一年十二月甲辰、従五位下を授け、
桓武天皇　延暦十年四月乙巳、従四位下に叙され、〔續日本紀〕〔〇按 本書、四月庚子條、従五位下を授くとあるは盖 衍文也、故今之を削る、〕
醍醐天皇　延喜の制、名神大社に列る、〔延喜式〕
堀河天皇　康和五年六月 御卜大虫神の社司 神事を穢せる祟あるを以て、中祓を科せ祓清め仕奉らしめき、〔朝野群載〕

二月朔日二日　九月十日祭を行ふ、〔明細帳〕

【原文参照】

『特選神名牒（Token Shimmery cho）〈明治9年（1876）完成〉』に記される伝承

式内社　雨夜神社について　所在は゛（大虫神社の相殿也）（丹生郡大虫村大字大虫 縣社大虫神社相殿）゛〈現 大虫神社相殿に合祀 若宮神社〉と記しています

又゛岡本村に遥拝所あり゛〈現　岡太神社（越前市岡本町）〈雨夜神社 旧鎮座地は　岡太神社に合祀〉〉とも記しています

【抜粋意訳】

雨夜神社

祭神

神位
　光仁天皇　寶龜五年三月戊申 叙越前國 丹生郡 雨夜神 從五位下
　桓武天皇　延曆十年夏四月庚子 叙 越前國 雨夜神 從五位下

祭日
社格

所在　（大虫神社の相殿也）（丹生郡大虫村大字大虫 縣社大虫神社相殿）

　今按　神社覈録に官社考云 往日 丹生嶽にます　中古より下大虫村 小虫神社に並べ祀る　岡本村に遙拜所あり　大虫神社の御子神にて攝社也とみえたるが如くなるべし　姑附て考に備ふ

式内社　大虫神社について　所在は゛上大䖝村（丹生郡 大䖝村大字大䖝）゛〈現　大虫神社（越前市大虫町）〉と記しています

【抜粋意訳】

大䖝神社　名神大

祭神　日子穂々出見命

　明細帳　祭神 日子穂々出見尊　また神社覈録に官社考を引て 彦火々出見尊とあるは疑はしきに似たれど　もとより社傳の説と聞え　大䖝神社と小虫神社とは大小と相對したる名なるべく　小虫神社の祭神 此神社に由あるも謂れある事なるべし　故今姑く之に從ふ

神位
　光仁天皇　實龜十一年十二月甲辰 越前國丹生郡 大䖝神 叙従五位下
　桓武天皇　延曆十年夏四月庚子 叙 越前國 大䖝神社 従五位下
　同月乙巳 叙 従五位下 大䖝神社 従四位下

祭日　二月朔日二日　九月十日
社格　縣社

所在　上大䖝村（丹生郡 大䖝村大字大䖝）
　今按　明細帳 垂仁天皇の御世二十六年七月十六日 丹生嶽より現今の宮地に遷座とあり

【原文参照】

③越前國 丹生郡 小虫神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉
④越前國 丹生郡 雷神社〈天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 雷神社〉

『神社覈録（Jinja Kakuroku）〈明治3年（1870年）〉』に記される伝承

式内社　小虫神社について　所在は゛下大虫村に在す、゛〈現 天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉と記しています

【抜粋意訳】

小虫神社

小虫は袁牟志と訓べし

○祭神　豊玉姫尊、〔官社考〕

〇下大虫村に在す、〔同上〕

例祭　月　日、

類社
　丹後國 與謝郡 小虫神社、〔名神大〕

神位　幣社
　續日本紀、賓龜十一年十二月甲午、越前國 丹生郡 小虫神 爲ニ 幣社 焉 」
　惣神分云、從三位 小虫神、

式内社　雷神社について　所在は　記されていません

【抜粋意訳】

雷神社

　雷は伊加都知と訓べし

〇祭神　山雷神〔官社考〕

例祭　月　日

類社
　但馬国 氣多郡 雷神社

神位
　惣神分云、正五位雷神

【原文参照】

『神祇志料（Jingishiryo）』〈明治9年（1876）出版〉に記される内容

式内社　小虫神社について　所在は゛今　下大虫村にあり、゛〈現 天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉と記しています

【抜粋意訳】

小虫（ヲムシノ）神社

今　下大虫村にあり、〔越藩拾遺、神社覈録、〕

傳云ふ、豊玉毘賣命を祀る、〔本社傳説〕

光仁天皇　寶龜十一年十二月甲午、小虫神を幣社とし〔續日本紀〕
桓武天皇　延曆廿四年九月壬辰、從五位下を授く、〔日本後紀〕

凡　其祭日　佐佐牟志神社に同し〔神社明細帳〕

式内社　雷神社について　祭神・所在は　記されていません

【抜粋意訳】

雷（イカツチノ）神社

【原文参照】

『特選神名牒（Tokusen Shimmyo cho）〈明治9年（1876）完成〉』に記される伝承 

式内社　小虫神社について　所在は゛上大虫村〔大虫神社相殿〕（丹生郡大虫村大字大虫 縣社 大虫神社内）゛〈現 天正11年（1583）大虫神社相殿に合祀 小虫神社〉と記しています

【抜粋意訳】

小虫神社

祭神　豐玉毘賣命

神位
　光仁天皇　寶龜十一年十二月甲午 越前國丹生郡 小虫神 爲幣社〔日本後紀 桓武天皇 延暦二十四年九月壬辰 奉授 越前國小虫神 従五位下〕

祭日　二月朔日二日　九月十日
社格　（明細帳に縣社 大虫神社と相殿）（縣社）

所在　上大虫村〔大虫神社相殿〕（丹生郡大虫村大字大虫 縣社 大虫神社内）

式内社　雷神社について　所在は゛上廣瀬村（南條郡神山村大字廣瀬）゛〈現　雷神社（越前市広瀬町）〉と記しています
別説として゛大森村 鴨分別雷神社ありて雷神社と傳稱す゛〈現　賀茂神社（福井市加茂町）〉とも記したうえで

゛大虫村 大虫神社相殿にます由云るは信がたし゛と記して　大虫神社の相殿の説を否定しています

【抜粋意訳】

雷神社

祭神　鴨別雷神

　今按　明細帳に祭神 別雷大神 健角身命 伊可古夜比賣命 玉依比賣命とあれど　其主神は別雷神なる事著ければ一座を記せり

祭日　四月中酉日
社格　村社

所在　上廣瀬村（南條郡神山村大字廣瀬）

　今按　舊福井藩神社取調書に　大森村 鴨分別雷神社ありて雷神社と傳稱す
南條郡廣瀬村にも雷神社あり　こは廣瀬雄推神ならんと云れと祭神を以て考るに雷神社なるべし　故今之に從ふ　區別帳に大虫村 大虫神社相殿にます由云るは信がたし

【原文参照】

大虫神社（越前市大虫町）に「拝 (hai)」(90度のお辞儀)

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