伊豆志彌神社（京丹後市久美浜町出角宮ノ谷）〈『延喜式』伊豆志彌神社〉

伊豆志彌神社（いずしやじんじゃ）は　『丹後舊事紀』に第11代 垂仁天皇の時代〈皇紀632年～皇紀730年〉川上摩須郎女（かわかみますのいらつめ）によって勧請と記されています　延喜式内社　丹後國 熊野郡 伊豆志彌神社（いつしみの かみのやしろ）です　江戸時代の旧称は　筈森大明神（箱森大明神）と呼ばれていました

1.ご紹介（Introduction）

　この神社の正式名称や呼ばれ方　現在の住所と地図　祀られている神様や神社の歴史について　ご紹介します

【神社名(Shrine name）】

伊豆志彌神社（Izushiya shrine）

【通称名(Common name)】

・〈江戸時代 旧称〉筈森大明神（箱森大明神）

【鎮座地　(Location)　】

京都府京丹後市久美浜町出角（いずすみ）小字宮ノ谷７１８番地

【地　図 (Google Map)】

【御祭神　(God's name to pray)】

《主》出石心大臣命（いづしこころのおほおみのみこと）

【御神徳　(God's great power)】（ご利益）

【格　式　(Rules of dignity) 】

・『延喜式神名帳（engishiki jimmeicho ）927 AD.』所載社

【創　建　(Beginning of history)】

『京都府熊野郡誌』大正12年に記される内容

【抜粋意訳】

伊豆志彌神社　村社　川上村大字出角小字白石鎭座

祭神　出石心大臣命

由緒

　式内社にして其の創立最も古く、丹後舊事記 丹後一覧記等に據るに、垂仁天皇の朝 河上摩須　勧請といひ傳ふ。

往古 民間 箱森大明神と唱へしが、其の由緒明ならず。大正四年御大典記念として拜殿を建し、爾来財産の増殖に努め、諸般の施設完成しければ　大正九年神饌幣帛料供進神社として指定せらる。

一　本殿　流造壹間社欅檜屋根クレ板葺　建坪参坪
一　上屋　切妻造松材屋根萱葺　建坪五坪四合
一　拜殿　入母屋造檜松材屋根瓦葺　建坪三坪六合貮勺
一　籠屋　入母屋造松材屋根萱葺　建坪六坪壹合四勺
一　境内坪数敷地種　七百拾八坪　官有地第一種　
一　氏子戸数　二十八戸

境内神社
　天満神社　祭神　菅原大神
　稲荷神社　祭神　保食廼命

【原文参照】

【由　緒　(History)】

由緒

　当社は、元 箱森大明神と唱え、延喜式内社である。創立年代不詳なれど、丹後旧事記等には丹後之河上麻須の創建と伝える。大正９年神饌幣帛科供進神社の指定を受ける。

※「全国神社祭祀祭礼総合調査(平成7年)」[神社本庁]から参照

『丹後史料叢書』第5輯,昭和2年に記される内容

【抜粋意訳】

伊豆志彌神社

　○【舊旧事記】物部氏三世孫 出石心大臣命

【神社覈録】出角村
【神社明帳細】同祭日九月六日
【丹後但馬神社道志流倍】出石郡ハ只山ヲ隔テタルノミナレバ 伊豆志ミト云ナリ 何レノ神ナラン不知
【豊岡縣式内神社取調書】出角村字宮地 九月三日

【原文参照】

【神社の境内　(Precincts of the shrine)】

・伊豆志彌神社　本殿・本殿覆い屋

・伊豆志彌神社　拝殿

・〈本殿向かって左 境内社〉社日碑〈社日神社〉

社日碑は　天照皇大神、大己貴命、少彦名命、埴安姫命、倉稲魂命の. 五柱の神の名が五角柱のそれぞれの面に刻まれています

・〈本殿向かって左手前 境内社〉2祠

・〈境内社〉石の安置されている祠

・〈境内社〉4扉の合殿

・大正九年の記念石碑

諸般の施設完成し　大正九年神饌幣帛料供進神社として指定された記念碑

・境内

・社頭

【神社の境外　(Outside the shrine grounds)】

・〈社頭から西へ120m程〉社号標と石灯籠

この神社の予備知識(Preliminary knowledge of this shrine)

この神社は　大和朝廷による編纂書〈六国史・延喜式など〉に記載があり　由緒（格式ある歴史）を持っています

〇『六国史（りっこくし）』
　　奈良・平安時代に編纂された官撰（かんせん）の6種の国史〈『日本書紀』『續日本紀』『日本後紀』『續日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代實録』〉の総称

〇『延喜式（えんぎしき）』
　　平安時代中期に編纂された格式（律令の施行細則）

〇『風土記（ふどき）』
　『続日本紀』和銅6年（713）5月甲子の条が　風土記編纂の官命であると見られ　記すべき内容として下記の五つが挙げられています

1.国郡郷の名（好字を用いて）
2.産物
3.土地の肥沃の状態
4.地名の起源
5.古老の伝え〈伝えられている旧聞異事〉

現存するものは全て写本

『出雲国風土記』がほぼ完本
『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態

『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』(927年12月編纂)に所載〈This record was completed in December 927 AD.〉

『延喜式（Engishiki）律令の施行細則 全50巻』〈平安時代中期 朝廷編纂〉
その中でも巻9・10を『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』といい　当時〈927年12月編纂〉「官社」に指定された全国の神社（式内社）の一覧となっています

・「官社（式内社）」名称「2861社」
・「鎮座する天神地祇」数「3132座」

[旧　行政区分]（Old administrative district）
(神様の鎮座数）山陰道　560座…大37（うち預月次新嘗1）・小523

[旧　国　名　]（old county name）
(神様の鎮座数）丹後國　65座（大7座・小58座）

[旧　郡　名　]（old region name）
(神様の鎮座数）熊野郡　11座（並小）

[名神大 大 小]　式内小社

[旧　神社　名称 ] 伊豆志彌神社
[ふ　り　が　な ]（いつしみの かみのやしろ）
[Old Shrine name]（Itsushimi no kaminoyashiro）

【原文参照】

【オタッキーポイント】（This is the point that Otaku conveys.）

あなたが　この神社に興味が湧くような予備知識をオタク視点でご紹介します

延喜式内社　丹後國 熊野郡 伊豆志彌神社（いつしみの かみのやしろ）の創建について

『丹後史料叢書』第1輯〈『丹後舊事紀』巻之九〉に記される内容

　第11代　垂仁天皇の時代〈皇紀632年～皇紀730年〉川上摩須郎女（かわかみますのいらつめ）によって勧請と記されています

【抜粋意訳】

『丹後舊事紀』巻之九　熊野郡

伊豆志彌神社　出角村

祭神　出石心大臣命　延喜式竝小社

垂仁天皇の朝　川上麻須郎勧請

【原文参照】

『丹後舊事紀』に記される「川上摩須郎女（かわかみますのいらつめ）」について

【抜粋意訳】

丹後舊事紀（たんごきゅうじき）巻一

川上摩須郎（カハカミノマスラ）

當国 熊野郡 川上の庄 須郎の庄に館を造る　開化天皇より崇神 垂仁の朝に至る

古事記に曰く　旦波道主命 川上摩須郎の女を娶て　生ませる御子 比婆須媛（ひばすひめ）渟葉田瓊入媛（ぬはたのにいりひめ）真砥野媛（まとのひめ）薊瓊入媛（あざみのにいりひめ）朝廷別王　以上五柱

川上摩須郎は　将軍道主の命と共に　當国に有て　熊野郡川上の庄に　伊豆志禰神社　丸田神社　矢田神社　三嶋田神社を祭る

【原文参照】

古代　丹波國〈川上摩須郎女と丹波道主命〉について

【神社にお詣り】(Here's a look at the shrine visit from now on)

この神社にご参拝した時の様子をご紹介します

京都丹後鉄道　宮豊線　久美浜駅からR312号・府道706号・703号経由で南東へ約8.5km　車での所要時間は14～16分程度

出角（いずすみ）の集落の東奥に神社は鎮座します
集落の東奥に石灯籠と社号標「式内 村社 伊豆志彌神社」が立ちます

社号標から100m程で社頭がありましたが　道が狭く駐車はできません
少し先に　森の所に1台分のスペースにレンタカーを停めます

伊豆志彌神社（京丹後市久美浜町出角宮ノ谷）に参着

一礼をして社頭の鳥居をくぐり抜けて境内に進みます

境内の正面に拝殿が建てられていて

向って左側に〈境内社〉が祀られています

〈境内社〉は・4扉の合殿・石の安置されている祠が祀られています

〈本殿向かって左 境内社〉社日碑〈社日神社〉が祀られています

拝殿にすすみます

拝殿内には　祭用の幟旗竿が置かれています
額には写真が架けられています

写真をよく見てみると
昭和二十九年九月吉日　拝殿屋根葺替記念とあり　氏子が集っている写真です

賽銭をおさめ　お祈りをします
ご神威に添い給うよう願いながら礼　鎮まる御祭神に届かんと　かん高い柏手を打ち　両手を合わせ祈ります

拝殿の床から　何やらこちらを覗かれているいるような感じがしたので　よく見てみると゛ニホンアマガエル゛がこちらを見ていました

カエルが拝殿に昇殿していることになります
゛蛙゛は少彦名命の神使いですので　吉とします
神社の目の前を　川上谷川の支流　芦原川（出角川）が流れていますので　水辺の植物の上や森林などに生息する゛ニホンアマガエル゛には　最適の環境なのでしょう　

社殿に一礼をして　境内を戻ります

社殿　境内　社頭は南西を向いています

【神社の伝承】(I will explain the lore of this shrine.)

この神社にかかわる故事や記載されている文献などをご紹介します

『神社覈録（Jinja Kakuroku）〈明治3年（1870年）〉』に記される伝承

式内社　伊豆志彌神社について　所在は゛出角（イツスミ）村に在す゛〈現　伊豆志彌神社（京丹後市久美浜町出角宮ノ谷）〉と記されています

【抜粋意訳】

伊豆志彌神社

伊豆志彌は假字也

○祭神詳ならず

○出角（イツスミ）村に在す〔式社考〕

【原文参照】

『神祇志料（Jingishiryo）』〈明治9年（1876）出版〉に記される内容

式内社　伊豆志彌神社について　所在は゛今　出角村にあり゛〈現　伊豆志彌神社（京丹後市久美浜町出角宮ノ谷）〉と記されています

【抜粋意訳】

伊豆志彌（イツシミノ）神社、

今　出角村にあり、

凡　九月六日を例祭とす、〔神社明細帳、神社覈録〕

【原文参照】

『特選神名牒（Tokusen Shimmyo cho）〈明治9年（1876）完成〉』に記される伝承

式内社　伊豆志彌神社について　所在は゛出角村〔字宮地〕゛〈現　伊豆志彌神社（京丹後市久美浜町出角宮ノ谷）〉と記されています

【抜粋意訳】

伊豆志彌（イツシミノ）神社

祭神
祭日　九月三日
社格　村社
所在　出角村〔字宮地〕

【原文参照】

伊豆志彌神社（京丹後市久美浜町出角宮ノ谷）に「拝 (hai)」(90度のお辞儀)

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