磯部神社(いそべじんじゃ)は 氷見のヤマフジの名所として知られ見頃には多くの人々が参拝します 古代に八代谷(旧 氷見郡八代村一帯)の土地開拓をした礒部氏が 祖神 天日方奇日方命を御祭神として祀ったと云う 延喜式内社 越中國 射水郡 礒部神社(いそへ かみのやしろ)とされます

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目次
1.ご紹介(Introduction)
この神社の正式名称や呼ばれ方 現在の住所と地図 祀られている神様や神社の歴史について ご紹介します
【神社名(Shrine name)】
磯部神社(Isobe shrine)
【通称名(Common name)】
【鎮座地 (Location) 】
富山県氷見市磯部1045
【地 図 (Google Map)】
【御祭神 (God's name to pray)】
《主》〈磯部氏の祖神〉天日方奇日方命(あめのひかた くしひかたのみこと)
【御神徳 (God's great power)】(ご利益)
【格 式 (Rules of dignity) 】
・『延喜式神名帳(engishiki jimmeicho )927 AD.』所載社
【創 建 (Beginning of history)】
『高岡誌・射水誌・氷見誌』に記される内容
【抜粋意訳】
氷見誌
氷見郡の郷荘村里 八代村
磯部神社
磯邊に在り 奇日方命を祀る 磯部氏の祖神にして式内の一なり
古は八代谷七个村の總社なりしとそ
【原文参照】

和田文次郎 編『高岡誌・射水誌・氷見誌』,佐伯新聞舗,明33. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/764647
【由 緒 (History)】
『神名帳考証土代(Jimmyocho kosho dodai)』〈文化10年(1813年)成稿〉に記される伝承
【抜粋意訳】
磯部(イソヘノ)神社
〔姓氏〕石辺公 久斯比賀多命之後也
○今在 磯部村
【原文参照】

国立公文書館デジタルアーカイブ『神名帳考証土代』(文化10年(1813年)成稿)選者:伴信友/補訂者:黒川春村 写本 [旧蔵者]元老院https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/listPhoto?LANG=default&BID=F1000000000000039328&ID=M2018051416303534854&TYPE=&NO=画像利用
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【神社の境内 (Precincts of the shrine)】
・磯部神社 本殿

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・磯部神社 拝殿

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・自然石を敷き詰めた石段・市指定天然記念物の社叢

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礒部神社社叢
氷見市指定天然記念物 昭和四十七年四月一五日
礒部(いそべ)神社は、延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)に記載された式内社(しきないしゃ)に比定される古社で、祭神は磯辺氏の祖神 天日方奇日方命(あめのひかたくしひかたのみこと)を祀る。
礒部神社社叢は、標高約一〇〇メートルに位置し、常緑樹の多い森で、高木層としては、西から北側の斜面には常緑広葉樹のウラジロガシが優占し、中央部の社殿に向かう参道をいくと大きなスギが立ち並ぶ、また社殿より上部にはユズリハとモミの大木がある。
社叢の高木層以外の主な構成種は、低木層はヒメアオキ、ヤブツバキ、ヤツデ、シロダモ、草本層はべニシダ、ヤブコウジ、トキワイカリソウである。
社叢の西向きの正面部分には大きなフジが高木にからみつき、花期には紫色の長い花序を垂れたフジの花が、社叢前面を覆うように広がる。
氷見市教育委員会
現地案内板より

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・礒部神社のヤマフジ

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開花の頃の様子は 磯部神社のFacebook
https://www.facebook.com/profile.php?id=61558930305330#
・社頭

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【神社の境外 (Outside the shrine grounds)】
・〈礒部神社の元鎮座地〉神明宮(氷見市磯辺 上宮)
一説には
磯部神社は もと上宮(かみや)集落(磯部集落の北方1kmの山中)にあったと云う
又 現在の磯部神社のある所に 箭代神社の遥拝所〈里宮〉があったと云う
中世の戦乱で この二社は荒廃して 後世に再興された時 箭代神社は北八代の中山(旧社地)に遷座し 箭代神社の旧社地に磯部神社が遷座したのだと云う
延喜式内社 越中國 射水郡 礒部神社(いそへ かみのやしろ)の旧鎮座地
〈2022年11月26日〉神明宮は 礒部神社に合祀の神事が執り行われました
上宮(かみや)集落は 徐々に人が離れ過疎化の為 神明宮の維持管理ができなくなり ご神体を同じ八代地区の礒部神社へ遷座合祀されました
・神明宮(氷見市磯辺 上宮)については この記事を参照 神明宮(しんめいぐう)は 磯部神社(氷見市磯辺)の旧社地とも云われ 延喜式内社 越中國 射水郡 礒部神社(いそへ かみのやしろ)の論社となっています 磯部集落の中でも山間部の上宮(かみや)集落に鎮座したが 集落過疎化の為 神社の維持管理ができなくなり 礒部神社に合祀の神事〈2022年11月26日〉が執り行われました 続きを見る
神明宮(氷見市磯辺 上宮)〈『延喜式』礒部神社の元鎮座地〉
・〈現在の礒部神社の鎮座地は 箭代神社の遥拝所(里宮)であった〉箭代神社(氷見市北八代)
一説には
箭代神社は もとは 八代村の奥山に「八代仙(はったいせん)」と呼ぶ洞窟を奥宮として 現在の磯部神社のある所に箭代神社の遥拝所〈里宮〉があったと云う
磯部神社は もと上宮(磯部部落の北方1kmの山中)にあつたが 中世の戦乱で この二社は荒廃して 後世に再興された時 箭代神社は北八代の中山(旧社地)に遷座し 箭代神社の旧社地に磯部神社が遷座したのだと云う
延喜式内社 越中國 射水郡 箭代神社(やしろ かみのやしろ)
・感之社〈箭代神社の古社地の中山南麓に再建〉
・箭代神社(氷見市北八代)
・箭代神社の奥宮であった(八代仙洞窟)・里宮〈遥拝所〉であった(現 磯部神社の境内)と 磯部神社の元鎮座地(神明宮(氷見市磯辺 上宮))の位置関係
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この神社の予備知識(Preliminary knowledge of this shrine)
この神社は 大和朝廷による編纂書〈六国史・延喜式など〉に記載があり 由緒(格式ある歴史)を持っています
〇『六国史(りっこくし)』
奈良・平安時代に編纂された官撰(かんせん)の6種の国史〈『日本書紀』『續日本紀』『日本後紀』『續日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代實録』〉の総称
〇『延喜式(えんぎしき)』
平安時代中期に編纂された格式(律令の施行細則)
〇『風土記(ふどき)』
『続日本紀』和銅6年(713)5月甲子の条が 風土記編纂の官命であると見られ 記すべき内容として下記の五つが挙げられています
1.国郡郷の名(好字を用いて)
2.産物
3.土地の肥沃の状態
4.地名の起源
5.古老の伝え〈伝えられている旧聞異事〉
現存するものは全て写本
『出雲国風土記』がほぼ完本
『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態
『延喜式神名帳(Engishiki Jimmeicho)』(927年12月編纂)に所載〈This record was completed in December 927 AD.〉
『延喜式(Engishiki)律令の施行細則 全50巻』〈平安時代中期 朝廷編纂〉
その中でも巻9・10を『延喜式神名帳(Engishiki Jimmeicho)』といい 当時〈927年12月編纂〉「官社」に指定された全国の神社(式内社)の一覧となっています
・「官社(式内社)」名称「2861社」
・「鎮座する天神地祇」数「3132座」
[旧 行政区分](Old administrative district)
(神様の鎮座数)北陸道 352座…大14(うち預月次新嘗1)・小338[旧 国 名 ](old county name)
(神様の鎮座数)越中國 34座(大1座・小33座)
[旧 郡 名 ](old region name)
(神様の鎮座数)射水郡 13座(大1座・小12座)
[名神大 大 小] 式内小社
[旧 神社 名称 ] 礒部神社
[ふ り が な ](いそへの かみのやしろ)
[Old Shrine name](Isohe no kaminoyashiro)
【原文参照】

国立公文書館デジタルアーカイブス 延喜式 刊本(跋刊)[旧蔵者]紅葉山文庫https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/listPhoto?LANG=default&BID=F1000000000000004146&ID=M2014101719562090086&TYPE=&NO=画像利用
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【オタッキーポイント】(This is the point that Otaku conveys.)
あなたが この神社に興味が湧くような予備知識をオタク視点でご紹介します
延喜式内社 越中國 射水郡 礒部神社(いそへ かみのやしろ)の論社について
・磯部神社(氷見市磯辺)
・神明宮(氷見市磯辺 上宮)
〈礒部神社の元鎮座地〉
『延喜式神名帳』所載「いそへのかみのやしろ」の社号を持つ式内社とその論社について
『延喜式神名帳』に所載される各々の「いそへのかみのやしろ」は 古代の氏族・「石邊公」「石部氏」に関係する神社 又は 海人族の「磯部氏」に関係する神社とも云われ 数多く分布しています
音は「いそへ」と同じでも その要因は 様々な要素から成り立っていて 特定は非常に難しく その為 各々の神社を検証してみます
【神社にお詣り】(Here's a look at the shrine visit from now on)
この神社にご参拝した時の様子をご紹介します
JR氷見線 氷見駅から県道18号で海岸線を北方向へ 約9.3km 車での所要時間は14~15分程度
県道18号沿いの氷見警察署 八代駐在所の横に社頭があります
社頭の社号標には゛延喜式内 礒部神社゛と刻字があります

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磯部神社(氷見市磯辺)に参着

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一礼をしてから 鳥居をくぐり抜けて参道を進むと 参道には樹齢300年以上とも言われる山フジが覆いかぶさるように参道を塞いでいます

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境内に自生する山フジは 磯部神社の山フジとして有名との事でフジの開花時期には多くの人々が参拝するとのこと

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自然石を用いた石段があり 石段の脇には 杉の大木があります

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石段の途中に 踊り場があり 手水舎が建てられていて こちらで清めてから ふたたび石段を上がります

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拝殿にすすみます

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賽銭をおさめ お祈りをします
ご神威に添い給うよう願いながら礼 鎮まる御祭神に届かんと かん高い柏手を打ち 両手を合わせ祈ります

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拝殿の奥には 覆い屋の中に本殿が祀られています

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社殿に一礼をして 境内を戻ります

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自然石を用いた石段を下ります

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帰りだと ヤマフジが参道から社殿を塞ぐように垂れているのが 良くわかると想います

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【神社の伝承】(I will explain the lore of this shrine.)
この神社にかかわる故事や記載されている文献などをご紹介します
『神社覈録(Jinja Kakuroku)〈明治3年(1870年)〉』に記される伝承
式内社 礒部神社について 所在は゛礒部村に在す、゛〈現 磯部神社(氷見市磯辺)〉と記しています
【抜粋意訳】
礒部神社
礒部は 伊曾倍と訓べし
〇祭神 櫛日方命、大山咋命、大己貴命〔神社帳〕
〇礒部村に在す、〔同上〕
例祭類社
伊勢國 朝明郡 石部神社の條見合すべし
越後國 頸城郡 水島犠部神社
【原文参照】

鈴鹿連胤 撰 ほか『神社覈録』下編 ,皇典研究所,1902. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/991015
『神祇志料(Jingishiryo)』〈明治9年(1876)出版〉に記される内容
式内社 礒部神社について 所在は゛今、磯部村土坂に在り、゛〈現 磯部神社(氷見市磯辺)〉と記しています
【抜粋意訳】
磯部(イソベ)神社
今、磯部村土坂に在り、
四月五日、九月二十二日祭を行ふ、〔神社覈録、新川縣式社調牒〕
【原文参照】

栗田寛 著『神祇志料』第15−17巻,温故堂,明9-20. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/815497
『特選神名牒(Tokusen Shimmyo cho)〈明治9年(1876)完成〉』に記される伝承
式内社 礒部神社について 所在は゛礒邊村 字上坂(氷見郡八代村大字礒邊)゛〈現 磯部神社(氷見市磯辺)〉と記しています
【抜粋意訳】
磯部神社
祭神 天日方奇日方命
祭日 今四月五日 九月二十二日
社格 村社所在 礒邊村 字上坂(氷見郡八代村大字礒邊)
【原文参照】

教部省 編『特選神名牒』,磯部甲陽堂,1925. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1919019
磯部神社(氷見市磯辺)に「拝 (hai)」(90度のお辞儀)

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