宮村岩部神社（加賀市宮町）〈『延喜式』宮村いそ部神社〉

宮村部神社（みやむらいそべじんじゃ）は　創建年代　祭神ともに不祥　祭神は　天神　或いは櫛日方命とも云う　現在も本殿はなく　瑞垣（土塀）にて囲む内に磐座が祀られる謎多き古社で　古へに社地の南方2km程に遙拜所があった所に　今は鳥居のみが残っています　延喜式内社　加賀國 能美郡 石部神社（いそへの かみのやしろ）です

1.ご紹介（Introduction）

　この神社の正式名称や呼ばれ方　現在の住所と地図　祀られている神様や神社の歴史について　ご紹介します

【神社名(Shrine name）】

宮村部神社（Miyamuraisobe shrine）

【通称名(Common name)】

【鎮座地　(Location)　】

石川県加賀市宮町ヌ9－1

【地　図 (Google Map)】

【御祭神　(God's name to pray)】

《主》祭神不詳
　　　或いは　天神と称し
　　　或いは　櫛日方命と云う

【御神徳　(God's great power)】（ご利益）

【格　式　(Rules of dignity) 】

・『延喜式神名帳（engishiki jimmeicho ）927 AD.』所載社

【創　建　(Beginning of history)】

宮村部神社（みやむらいそべじんじゃ）

由緒

創立年月不詳。式内社にあてられ、一郷崇敬の社。祭神不詳或いは天神と称し或いは櫛日方命と云う。
磐境神座にして古来より本殿なく、現在瑞垣（土塀）を以て囲む。
通称 鳥居山遙拝所（加賀市宮町ソ29番地飛び地境内）は当社より16町余り距る高尾町にあって鳥居のみ存す。

石川県神社庁HPより
https://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/shrine/j0431/

【由　緒　(History)】

『石川県江沼郡誌』に記される内容

【抜粋意訳】

第二十章　黒崎村　神社

○宮村岩部神社。

字宮にありて村社なり。本殿なく石を以て神体となし、元と石部藥師と稱せしことありといふ。祭神は、或は天神と稱し、或は櫛日方命と云へり。
式内社にして一郷これを崇敬し、社地を南に距る十六町餘にして鳥居山あり。古へ此所に遙拜所ありしといひ、今鳥居のみを存す。
〔加賀國式內等舊社記)

【原文参照】

【神社の境内　(Precincts of the shrine)】

・瑞垣（土塀）に囲まれた神域に磐座〈本殿はありません〉

・社殿

・拝殿

・境内

・鳥居

・社頭

【神社の境外　(Outside the shrine grounds)】

・宮村岩部神社遥拝所

『石川県江沼郡誌』大正14年「式内社にして一郷これを崇敬し、社地を南に距る十六町餘にして鳥居山あり。古へ此所に遙拜所ありしといひ、今鳥居のみを存す。」とあり

この神社の予備知識(Preliminary knowledge of this shrine)

この神社は　大和朝廷による編纂書〈六国史・延喜式など〉に記載があり　由緒（格式ある歴史）を持っています

〇『六国史（りっこくし）』
　　奈良・平安時代に編纂された官撰（かんせん）の6種の国史〈『日本書紀』『續日本紀』『日本後紀』『續日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代實録』〉の総称

〇『延喜式（えんぎしき）』
　　平安時代中期に編纂された格式（律令の施行細則）

〇『風土記（ふどき）』
　『続日本紀』和銅6年（713）5月甲子の条が　風土記編纂の官命であると見られ　記すべき内容として下記の五つが挙げられています

1.国郡郷の名（好字を用いて）
2.産物
3.土地の肥沃の状態
4.地名の起源
5.古老の伝え〈伝えられている旧聞異事〉

現存するものは全て写本

『出雲国風土記』がほぼ完本
『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態

『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』(927年12月編纂)に所載〈This record was completed in December 927 AD.〉

『延喜式（Engishiki）律令の施行細則 全50巻』〈平安時代中期 朝廷編纂〉
その中でも巻9・10を『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』といい　当時〈927年12月編纂〉「官社」に指定された全国の神社（式内社）の一覧となっています

・「官社（式内社）」名称「2861社」
・「鎮座する天神地祇」数「3132座」

[旧　行政区分]（Old administrative district）
(神様の鎮座数）北陸道　352座…大14（うち預月次新嘗1）・小338

[旧　国　名　]（old county name）
(神様の鎮座数）加賀國　42座（並小）

[旧　郡　名　]（old region name）
(神様の鎮座数）江沼郡　11座（並小）

[名神大 大 小]　式内小社

[旧　神社　名称 ] 宮村部神社
[ふ　り　が　な ]（みやむらいそへの かみのやしろ）
[Old Shrine name]（Miyamuraisohe no kaminoyashiro）

【原文参照】

【オタッキーポイント】（This is the point that Otaku conveys.）

あなたが　この神社に興味が湧くような予備知識をオタク視点でご紹介します

加賀國に鎮座する「いそへのかみのやしろ」」の社号を持つ式内社とその論社について

加賀國 江沼郡 宮村部神社（みやむらいそへの かみのやしろ）

・宮村部神社（加賀市宮町）

加賀國 江沼郡 菅生石部神社（すかふのいそへの かみのやしろ）

・菅生石部神社（加賀市大聖寺敷地）〈加賀國二之宮〉

加賀國 能美郡 石部神社（いそへの かみのやしろ）

・石部神社（小松市古府町）

『延喜式神名帳』所載「いそへのかみのやしろ」の社号を持つ式内社とその論社について

『延喜式神名帳』に所載される各々の「いそへのかみのやしろ」は　古代の氏族・「石邊公」「石部氏」に関係する神社　又は　海人族の「磯部氏」に関係する神社とも云われ　数多く分布しています

音は「いそへ」と同じでも　その要因は　様々な要素から成り立っていて　特定は非常に難しく　その為　各々の神社を検証してみます

【神社にお詣り】(Here's a look at the shrine visit from now on)

この神社にご参拝した時の様子をご紹介します

IRいしかわ鉄道線　加賀温泉駅から県道145号・19号経由で北西方向へ約4.9km　車での所要時間は8～10分程度

県道19号沿いに社頭があります

宮村部神社（加賀市宮町）に参着

社号標には「式内　宮村岩部神社」と刻字があります
一礼をして　石鳥居をくぐり抜けて境内へと進みます

境内にいると　雨も降っており　外界の音も聞こえず　何故か古来のままのような感覚にとらわれる不思議な感じでした

参道の脇には　手水鉢がありました

拝殿にすすみます

賽銭をおさめ　お祈りをします
ご神威に添い給うよう願いながら礼　鎮まる御祭神に届かんと　かん高い柏手を打ち　両手を合わせ祈ります

社殿は　拝殿の奥に　中門付きの瑞垣（土塀）に囲まれた神域があります

しかし　この瑞垣（土塀）に囲まれた神域の内には　本殿はありません

瑞垣（土塀）の内を覗くことは出来ませんが　巨石〈磐座〉が祀られているとの事
この御神体の岩から「部」の社号があるのでしょうか?

社殿に一礼をして　境内参道を戻ります

【神社の伝承】(I will explain the lore of this shrine.)

この神社にかかわる故事や記載されている文献などをご紹介します

『神社覈録（Jinja Kakuroku）〈明治3年（1870年）〉』に記される伝承

式内社　宮村部神社について　所在は゛宮村に在す〔土人説〕゛〈現　宮村部神社（加賀市宮町）〉と記しています゜

【抜粋意訳】

宮村部神社

宮村は　美夜牟良、」部は伊波倍と訓べし

〇祭神詳ならず

〇宮村に在す〔土人説〕
例祭

類社
　丹波國氷上郡　部神社、同國船井郡阿知江部神社、

【原文参照】

『神祇志料（Jingishiryo）』〈明治9年（1876）出版〉に記される内容

式内社　宮村部神社について　所在は゛今　宮村に在り、石部藥師と云ふ、社殿なく石を以て神靈とす、゛〈現　宮村部神社（加賀市宮町）〉と記しています゜

【抜粋意訳】

宮村部（ミヤムライソベノ）神社

今　宮村に在り、石部藥師と云ふ、社殿なく石を以て神靈とす、

凡　其祭三月十五日　九月二十五日之を行ふ、〔神名帳打聞、神社覈録、石川縣式社調帳〕
〔〇新撰姓氏録、石邊公は大物主命の孫、久斯比賀多命の後とあり、延喜式 常陸 大洗酒列等の神社、大己貴命を祭て藥師と稱ふに據らは、本社も恐くは大己貴命を祭れる歟、姑附て考に備ふ、〕

【原文参照】

『特選神名牒（Tokusen Shimmyo cho）〈明治9年（1876）完成〉』に記される伝承

式内社　宮村部神社について　所在は゛宮村（江沼郡黒崎村大字宮）゛〈現　宮村部神社（加賀市宮町）〉と記しています゜

【抜粋意訳】

宮村部神社

祭神
　今按　祭神不詳一説に櫛日方命と云り　姓氏錄に石邊公 大物主命男 久斯比賀多命之後也とあれば　據ありて聞ゆ　姑附て考に備あ

祭日　三月十五日　九月二十五日
社格　村社

所在　宮村（江沼郡黒崎村大字宮）

【原文参照】

宮村部神社（加賀市宮町）に「拝 (hai)」(90度のお辞儀)

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