石井神社（西京区大原野石作町）〈『三代實録』石坐神『延喜式』石井神社〉

石井神社（いわいじんじゃ）は　旧鎮座地は小塩山の山上 金蔵寺護摩堂の奥にある清泉の井戸「御香泉」〈清水を神格化〉の上に創建された　坂本の氏子達が参拝しやすいように近くに遷座して欲しいとのことで　昭和28年（1953）山王社の境内地〈現在地〉に移遷した延喜式内社　山城國 乙訓郡 石井神社（いはいの かみのやしろ）です

1.ご紹介（Introduction）

　この神社の正式名称や呼ばれ方　現在の住所と地図　祀られている神様や神社の歴史について　ご紹介します

【神社名(Shrine name）】

石井神社（Iwai shrine）

【通称名(Common name)】

【鎮座地　(Location)　】

京都市西京区大原野石作町586

【地　図 (Google Map)】

【御祭神　(God's name to pray)】

《主》磐裂神（いわさくのかみ）

【御神徳　(God's great power)】（ご利益）

【格　式　(Rules of dignity) 】

・『延喜式神名帳（engishiki jimmeicho ）927 AD.』所載社

・　国史見在社（こくしげんざいしゃ）
〈六国史（『日本書紀』『続日本紀』『日本後紀』『続日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代実録』）に記載されている神社〉

【創　建　(Beginning of history)】

石井神社（いわいじんじゃ）

御祭神　磐裂神

鎮座地　京都市西京区大原野石作町586

​御由緒

式内社。
　古代(奈良時代-平安時代)の磐坐(いわくら)信仰により、金蔵寺護摩堂の奥にある「御香泉」と呼ばれる井戸の上に創建されていた。雲生水とも言い、清冽な湧水があり、当山唯一の清泉の上に祀られ、清水を神格化した古社である。
　明治6年6月村社、明治10年6月延喜式内社に確定、京都府庁より達しあり、
『三代実録(901) 』元慶4年(880)10月13日の条に、山城国正六位上石座神（石井=石座）に従五位下を授けたとある。
『山城志』(十八世紀前半)に、「今称 金蔵寺鎮守神」とある所から推して、金蔵寺は石井神社の神宮寺であったと思われる。
　元々は金蔵寺護摩堂の北に鎮座していた。坂本の氏子達が参拝しやすいように近くに遷座して欲しいとのことで、昭和28年に山王社のある現在地に移遷した。

　石井神社跡は今も雲生水の出る岩蔵山にある。
平成3年3月10日、本殿に貂が入って破損していたのを修理後、神霊を入れる厨子（ずし）を大工塚本清次氏に新調して下さり御霊を移した。

その際、棟札を確認したところ、
奉改造営 大弁財天御社 願堂寺繁栄
施主 福寿門濔祈門　田原作衛門
大工 浅田又兵衛
屋根 又右エ門
石垣 伝三郎
寛文6年(1617)と記してあった。

式内社　大歳神社公式HPより
https://otoshijinjya.wixsite.com/my-site/gosaijin

【由　緒　(History)】

由緒

式内社である。
三代実録に元慶四年従五位下授けたとある。山城志にも記されている。
清水を神格化した古社なり。雲生水とも云ひ、清冽な涌水のある金藏寺護摩堂の北清泉の上に祀られていたが、氏子の人々が近くに祀りたいと云ふので現在地に鎮座す。

※「全国神社祭祀祭礼総合調査(平成7年)」[神社本庁]から参照

【神社の境内　(Precincts of the shrine)】

・本殿

・本殿覆い屋

・〈境内社〉山王社《主》大山祇神

この地は　元々は山王社の境内地でした　昭和28年（1953）山王社の境内地〈現在地〉に　石井神社が移遷して現在に至ります

・鳥居

・参道入口の木橋

【神社の境外　(Outside the shrine grounds)】

・〈所管社〉大歳神社〈相殿に合祀　石作神〉（京都市西京区大原野灰方町）

 現在　石井神社（西京区大原野石作町）は　大歳神社〈相殿に合祀　石作神〉（京都市西京区大原野灰方町）が所管しています

・〈旧鎮座地〉石井神社跡地
　西岩倉山 金蔵寺（西京区大原野南春日町）

延喜式内社　山城國 乙訓郡 石井神社（いはいの かみのやしろ）の旧鎮座地

石井神社（京都市西京区大原野石作町）は　小塩山の山上 金蔵寺護摩堂の奥にある井戸「御香泉」の上に創建されていた　清泉の上に祀られ 清水を神格化した古社でしたが　坂本の氏子達が参拝しやすいように近くに遷座して欲しいとのことで　〈昭和28年（1953）山王社の境内地〈現在地〉に移遷〉

この神社の予備知識(Preliminary knowledge of this shrine)

この神社は　大和朝廷による編纂書〈六国史・延喜式など〉に記載があり　由緒（格式ある歴史）を持っています

〇『六国史（りっこくし）』
　　奈良・平安時代に編纂された官撰（かんせん）の6種の国史〈『日本書紀』『續日本紀』『日本後紀』『續日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代實録』〉の総称

〇『延喜式（えんぎしき）』
　　平安時代中期に編纂された格式（律令の施行細則）

〇『風土記（ふどき）』
　『続日本紀』和銅6年（713）5月甲子の条が　風土記編纂の官命であると見られ　記すべき内容として下記の五つが挙げられています

1.国郡郷の名（好字を用いて）
2.産物
3.土地の肥沃の状態
4.地名の起源
5.古老の伝え〈伝えられている旧聞異事〉

現存するものは全て写本

『出雲国風土記』がほぼ完本
『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態

『日本三代實録（Nihon Sandai Jitsuroku）〈延喜元年（901年）成立〉』に記される伝承

石坐神として　神階の奉授が記されています

【抜粋意訳】

卷卅八　元慶四年（八八〇）十月十三日癸巳

○十三日癸巳

山城ノ國
　正六位上 石坐神

丹後ノ國
　正六位上 息津嶋ノ神 葛嶋ノ神 坂代ノ神に　並に授く　從五位下を

【原文参照】

『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』(927年12月編纂)に所載〈This record was completed in December 927 AD.〉

『延喜式（Engishiki）律令の施行細則 全50巻』〈平安時代中期 朝廷編纂〉
その中でも巻9・10を『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』といい　当時〈927年12月編纂〉「官社」に指定された全国の神社（式内社）の一覧となっています

・「官社（式内社）」名称「2861社」
・「鎮座する天神地祇」数「3132座」

[旧　行政区分]（Old administrative district）
(神様の鎮座数）畿内　658座…大（預月次新嘗）231（うち預相嘗71）・小427

[旧　国　名　]（old county name）
(神様の鎮座数）山城國　122座（大53座（並月次新嘗・就中11座預相嘗祭）・小69座（並官幣））

[旧　郡　名　]（old region name）
(神様の鎮座数）乙訓郡　19座（大5座・小14座）

[名神大 大 小]　式内小社

[旧　神社　名称 ] 石井神社
[ふ　り　が　な ]（いはいの かみのやしろ）
[Old Shrine name]（Ihai no kaminoyashiro）

【原文参照】

【オタッキーポイント】（This is the point that Otaku conveys.）

あなたが　この神社に興味が湧くような予備知識をオタク視点でご紹介します

延喜式内社に「いはいの（いはゐの）かみのやしろ」とある神社の論社について

延喜式内社　山城國 乙訓郡 石井神社（いはいの かみのやしろ）

・石井神社跡地〈旧鎮座地 西岩倉山 金蔵寺（西京区大原野南春日町）〉
〈小塩山の山上 金蔵寺護摩堂の奥にある井戸「御香泉」の上に創建されていた　清泉の上に祀られ 清水を神格化した古社〉

・石井神社（京都市西京区大原野石作町）
〈昭和28年（1953）山王社の境内地〈現在地〉に移遷〉

延喜式内社　武蔵國 荏原郡 磐井神社（いはゐの かみのやしろ）

・磐井神社（大田区大森北）

延喜式内社　武蔵國 横見郡 伊波比神社（いはひの かみのやしろ）

・伊波比神社（吉見町黒岩）

延喜式内社　近江國 滋賀郡 石坐神社（いはゐの かみのやしろ）

・鳴滝不動尊（大津市膳所平尾町）
〈石坐神社の旧跡とされる磐座〉

・石坐神社（大津市西の庄）

延喜式内社　越後國 三嶋郡 石井神社（いはゐの かみのやしろ）

・石井神社（柏崎市西山町石地）

・石井神社（三島郡出雲崎町石井町）

・石井神社（長岡市上岩井）

・石井神社（柏崎市北条）

・石井神社（柏崎市西本町）

延喜式内社　越後國 沼垂郡 石井神社（いしゐの かみのやしろ）

・石井神社（新発田市五十公野）

【神社にお詣り】(Here's a look at the shrine visit from now on)

この神社にご参拝した時の様子をご紹介します

JR京都線　向日町駅から府道733号を西へ約7.4km　車での所要時間は20～25分程度

府道733号を進んでいくと長峯寺の辺りで　道は左折して金蔵寺の方向へ　だんだん山道になってきます

善峯川の支流　岩倉川を遡るように府道733号を進むと　坂本の集落に岩倉川を渡り　右は橋を渡り　金蔵寺の方面へ進む　標識がありました

金蔵寺は　〈旧鎮座地〉石井神社跡地つまり　延喜式内社　山城國 乙訓郡 石井神社（いはいの かみのやしろ）の旧鎮座地があります

石井神社（西京区大原野石作町）は　直進の様なのですが　車は通り抜けできないと立て看板があり　

少し手前に　天空農園方向へ左折する道があり　神社の東側へ通じている道があったので　そちらへ進みました

その道は途中で舗装は無くなり　その突き当り辺りに　右に山へと入る道がありましたので　GPSを頼りに入ってみます

道はあることはある　といった感じで　人が歩いた感じはありません

朽ちた竹が　藪道に倒れ塞いでいる　熊でも出てきたら嫌だなあ　戻るのも嫌だなあ　あきらめてあと少し上がってみよう

朽ちた竹で塞がれなくなってきました

しかし　又　同じような感じです
まあ　獣も通ったような跡もないので

尾根筋に出たので　右へ　GPSでは　多分こちらに在る筈だろうと

人手が入り　手入れされているのだろうか　青竹のある竹林がありました

すると　眼下に社のような小祠が見えました

右手下に瓦屋根の覆い屋があります

どうやら　神社の裏手から　無事に到着をした感じがします

下まで降りてみると　石井神社の本殿が　覆い屋の中に祀られていました

石井神社（西京区大原野石作町）に参着

先程の小祠は〈境内社〉山王社でした　その左後ろの尾根筋の竹藪から降りてきたことになります

改めて　拝殿にすすみます

賽銭をおさめ　お祈りをします
ご神威に添い給うよう願いながら礼　鎮まる御祭神に届かんと　かん高い柏手を打ち　両手を合わせ祈ります

この境内は　昭和28年（1953）に石井神社が遷座するまでは　〈境内社〉山王社の境内であったとの事　改めて山王社に

賽銭をおさめ　お祈りをします
ご神威に添い給うよう願いながら礼　鎮まる御祭神に届かんと　かん高い柏手を打ち　両手を合わせ祈ります

境内に一礼をして　振り返ると　しっかりと表参道がありましたので　こちらの石段を戻ります

鳥居を抜けて　振り返って　先程の藪道を無事に抜けてこられたことに感謝して　一礼をします

人が歩いている様子の参道を安心して下ります

すると　何となく先程ほど　荒れてはいませんが朽ちた竹が道を塞いでいます

左手は　坂本の集落に流れる谷川〈岩倉川〉があり　少し怖い感じの参道です

人が一人歩けるような　橋げたが付いていない　板か　石か　わかりませんが　一枚の橋が　谷川〈岩倉川〉に懸けられています
確かにすぐに道路へと渡れますが　これを渡るのはコワイなと想いました

まさか　折れたり　割れたりはしないのだろうが　苔むしていて　人が歩いた様子がありません　渡らないことにしました

橋を渡らず　そのまま進むと　天空農園方向への道に出ました

【神社の伝承】(I will explain the lore of this shrine.)

この神社にかかわる故事や記載されている文献などをご紹介します

『神社覈録（Jinja Kakuroku）〈明治3年（1870年）〉』に記される伝承

式内社　石井神社について　所在は゛岩蔵山に在す、金蔵寺鎮守神と稱す、゛〈現 石井神社跡地〈旧鎮座地 西岩倉山 金蔵寺（西京区大原野南春日町）〉〉と記しています

【抜粋意訳】

石井神社

石井は伊波為と訓べし

○祭神詳ならず

○岩蔵山に在す、金蔵寺鎮守神と稱す、〔山城志〕
例祭　月　日

類社
　越後國三島郡、同國沼垂郡石弁神社、〔各一座〕武蔵国荏原郡磐井神社、近江國滋賀郡石坐神社、

〔連胤〕按るに、各國祭神詳ならざる事、前なる國中神社に同じ、

神位
　三代実録、元慶四年十月十三日癸巳、授に山城國正六位上 石坐神 從五位下、
〔連胤〕云、此神 位井と坐の字違を以て、考証、比保古等に別社とす、〔名勝志同じ〕今は祭事記に從ふ、猶考ふべし、

【原文参照】

『神祇志料（Jingishiryo）』〈明治9年（1876）出版〉に記される内容

式内社　石井神社について　所在は゛岩蔵山にあり、金蔵寺鎮守神といふ、゛〈現 石井神社跡地〈旧鎮座地 西岩倉山 金蔵寺（西京区大原野南春日町）〉〉と記しています

【抜粋意訳】

石井（イハヰノ）神社

今　岩蔵山にあり、金蔵寺鎮守神といふ、〔山城志、神社覈録、〕

陽成天皇　元慶四年十月癸巳、正六位上 石坐神に從五位下を授く、〔三代実録〕〔〇石井神と石座神と、訓讀同じき時は、盖 其同神なる事著志、故今姑く此に附く〕

【原文参照】

『特選神名牒（Tokusen Shimmyo cho）〈明治9年（1876）完成〉』に記される伝承

式内社　石井神社について　所在は゛灰方村西岩倉山 金蔵寺（今 石作村）（乙訓郡大原野村大字石作）゛〈現 石井神社跡地〈旧鎮座地 西岩倉山 金蔵寺（西京区大原野南春日町）〉〉と記しています

【抜粋意訳】

石井（イハヰ）神社

祭神

神位　陽成天皇　元慶四年十月十月十三日癸巳　授に山城國正六位上 石坐ノ神 に從五位下

祭日
社格　村社

所在　灰方村西岩倉山 金蔵寺（今 石作村）（乙訓郡大原野村大字石作）

　今按 山城志に岩藏村に在り　金藏寺鎭守神と稱すとあるは　此神なるべし岩藏は石坐とかけるを坐を座とし　又　藏となりたるにて　石坐神は石井神にして　今　岩藏村にます神なること著きに似たり　神社覈録にも同神と定めたり

【原文参照】

石井神社（西京区大原野石作町）に「拝 (hai)」(90度のお辞儀)

山城国 式内社　122座（大53座（並月次新嘗 就中11座預相嘗祭）・小69座（並官幣）について　に戻る