倭神社（大津市坂本）〈『延喜式神名帳』倭神社〉

倭神社（やまとじんじゃ）は　創祀年代は不詳ですが　由緒伝えには　第13代 成務天皇（西暦131年即位）の御代に創立したとされます　古来「森本社」と称し　日吉大社の「社外末社百八社」の一つで　日吉大社に次ぐ古社と伝えられる　延喜式内社　近江國 滋賀郡 倭神社（しとりの/やまとの かみのやしろ）の論社です

1.ご紹介（Introduction）

　この神社の正式名称や呼ばれ方　現在の住所と地図　祀られている神様や神社の歴史について　ご紹介します

【神社名(Shrine name）】

倭神社（Yamato shrine）

【通称名(Common name)】

【鎮座地　(Location)　】

滋賀県大津市坂本1-8-31

【地　図 (Google Map)】

【御祭神　(God's name to pray)】

《主》日本武尊（やまとたけるのみこと）

《配》両道入姫皇女（ふたちいりひめのみこと）
　　　稲依別王（いなよりわけおう）〈父 日本武尊・母 両道入姫皇女の御子〉

【御神徳　(God's great power)】（ご利益）

【格　式　(Rules of dignity) 】

・『延喜式神名帳（engishiki jimmeicho ）927 AD.』所載社

【創　建　(Beginning of history)】

倭神社御由緒

祭神　日本武尊（やまとたけるのみこと）

配祀　両道入姫皇女（ふたちいりひめのみこと）
　　　稲依別王（いなよりわけおう）

由緒

　日本武尊は景行天皇の皇子で小碓命（をうすのみこと）と称す。成務天皇（西暦一三一年即位）の御代に当神社を創立。

醍醐天皇の御代に編纂した延喜式「神名帳」記載の倭神社は当神社のことで式内社として朝廷から民間まで篤く崇敬された。

古来「森本社」と称し日吉大社の社外百八社の一社に加えられている。

天台宗無動寺の鎮守社としても御神徳は輝き　他府県の方々からの尊崇の念も篤い。

昭和十四年十月無格社から村社に昇格し　神饌幣帛料供進神社に指定された。

例　祭　五月三日

境内社　通尾神社

祭　神　菅原道真公
元無格社　登志弖本村字通尾に鎮座のところ　明治四十一年許可を得て当境内に移転する。

現地案内板より

【由　緒　(History)】

倭（ヤマト）神社

御祭神　日本武尊

〔配祀神〕両道入姫皇女　稲依別王

御神紋　瓜に剣唐花

御由緒

創祀年代は不詳であるが、当社は延喜式内滋賀郡八座の一(論社)であり、日吉大社境内百八社の一社である。 又天台宗無動寺の鎮守社として崇敬をうけた。 昭和十四年村社に列格し、同年神饌幣帛料供進指定

本殿・境内建物
〔本殿〕一間社流造 間口一間 奥行一間
〔拝殿〕入母屋造 間口二間 奥行二間

境内社（摂社・末社）天満神社

滋賀県神社庁HPより
https://www.shiga-jinjacho.jp/ycBBS/Board.cgi/02_jinja_db/db/ycDB_02jinja-pc-detail.html?mode:view=1&view:oid=24

【神社の境内　(Precincts of the shrine)】

・倭神社 本殿
・〈境内社〉通尾神社《主》菅原道真公

・倭神社 拝殿〈舞殿〉

・鳥居

・社頭

【神社の境外　(Outside the shrine grounds)】

・日吉大社（大津市坂本）

倭神社（大津市坂本）は　古来「森本社」と称し　日吉大社の「社外末社百八社」の一つでした

日吉大社は　こちらの記事を参照ください

延喜式内社　近江國 滋賀郡 日吉神社（名神大）（ひよしの かみのやしろ）

・日吉大社（大津市坂本）

この神社の予備知識(Preliminary knowledge of this shrine)

この神社は　大和朝廷による編纂書〈六国史・延喜式など〉に記載があり　由緒（格式ある歴史）を持っています

〇『六国史（りっこくし）』
　　奈良・平安時代に編纂された官撰（かんせん）の6種の国史〈『日本書紀』『續日本紀』『日本後紀』『續日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代實録』〉の総称

〇『延喜式（えんぎしき）』
　　平安時代中期に編纂された格式（律令の施行細則）

〇『風土記（ふどき）』
　『続日本紀』和銅6年（713）5月甲子の条が　風土記編纂の官命であると見られ　記すべき内容として下記の五つが挙げられています

1.国郡郷の名（好字を用いて）
2.産物
3.土地の肥沃の状態
4.地名の起源
5.古老の伝え〈伝えられている旧聞異事〉

現存するものは全て写本

『出雲国風土記』がほぼ完本
『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態

『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』(927年12月編纂)に所載〈This record was completed in December 927 AD.〉

『延喜式（Engishiki）律令の施行細則 全50巻』〈平安時代中期 朝廷編纂〉
その中でも巻9・10を『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』といい　当時〈927年12月編纂〉「官社」に指定された全国の神社（式内社）の一覧となっています

・「官社（式内社）」名称「2861社」
・「鎮座する天神地祇」数「3132座」

[旧　行政区分]（Old administrative district）
(神様の鎮座数）東山道　382座…大42（うち預月次新嘗5）・小340

[旧　国　名　]（old county name）
(神様の鎮座数）近江國　155座（大13座・小142座）

[旧　郡　名　]（old region name）
(神様の鎮座数）滋賀郡　8座（大3座・小5座）

[名神大 大 小]　式内小社

[旧　神社　名称 ] 倭神社
[ふ　り　が　な ]（しとりの/やまとの かみのやしろ）
[Old Shrine name]（Shitori no/Yamato no kaminoyashiro）

【原文参照】

【オタッキーポイント】（This is the point that Otaku conveys.）

あなたが　この神社に興味が湧くような予備知識をオタク視点でご紹介します

延喜式内社　近江國 滋賀郡 倭神社（しとりの/やまとの かみのやしろ）の論社について

社名の「倭」の文字の読みは　倭神社（大津市坂本）は「やまと」なのに対して　倭神社（大津市滋賀里）は「しどり」と読みます

・倭神社（大津市坂本）

・倭神社（大津市滋賀里）

【神社にお詣り】(Here's a look at the shrine visit from now on)

この神社にご参拝した時の様子をご紹介します

京阪石山坂本線　松ノ馬場駅から西へ約500m　徒歩8分程度

駅から坂道を上がりながら住宅街を抜けると斜面に玉垣が廻された境内があります

倭神社（大津市坂本）に参着

一礼をして鳥居をくぐると　境内があり　その先に一段高い境内地があって社殿が建っています

正面に拝殿〈舞殿〉があります
拝殿〈舞殿〉にすすみます

拝殿の奥には　もう一段高い壇があり　透塀の玉垣に囲まれて　本殿と境内社が祀られています

拝所は設けられていませんので　更に鳥居をくぐり　本殿にすすむと　柱に賽銭箱が取り付けられているので

賽銭をおさめ　お祈りをします
ご神威に添い給うよう願いながら礼　鎮まる御祭神に届かんと　かん高い柏手を打ち　両手を合わせ祈ります

【神社の伝承】(I will explain the lore of this shrine.)

この神社にかかわる故事や記載されている文献などをご紹介します

『神社覈録（Jinja Kakuroku）〈明治3年（1870年）〉』に記される伝承

式内社　倭神社について　祭神・所在について詳らかではない　と記しています

説として゛今 上坂本大和庄の鎮守杜、本社は往古より故實ある社なれば、此社の外 大和社と申べき社なしと云り゛〈現　倭神社（大津市坂本）〉を記しています

【抜粋意訳】

倭神社

倭は夜末刀と訓べし、秘釈倭文に作る、（志止利と訓ず）

○祭神在所詳ならず

　天正元年 禰宜祝部行丸記云、日吉社外百八社記、於に大和庄拝に社地未詳、」
祝部希烈卿云、志賀郡大和と云地名 他に有事を聞ず、今 上坂本大和庄の鎮守杜、本社は往古より故實ある社なれば、此社の外 大和社と申べき社なしと云り、
考證にも倭神社は大國御魂神といひて、大和國大和社を引り、〔連胤〕按に、倭大國魂神を祭る所他にあらず、且秘釋に倭文とありて、倭文神は國々に祭る所多し、然れぱ倭文神社の文の字の脱たるに非ずやと思へど、其徴外に見ねば、何れとも定めがたし、

【原文参照】

『神祇志料（Jingishiryo）』〈明治9年（1876）出版〉に記される内容

式内社　倭神社について　所在は゛大和庄阪本村字森下にあり、杜本社と云ふ、゛〈現　倭神社（大津市坂本）〉と記しています

【抜粋意訳】

倭（シトリノ）神社

〔〇按　本書に、倭をしとりと訓たるに據らは、倭の下攻文字を脱せるに似たり、然れど山家要畧記、滋賀郡倭庄を常住明王に施入の文に據時は、倭は地名にして、倭文にあらざる事著し、姑附て考に備ふ〕

今 大和庄阪本村字森下にあり、杜本社と云ふ、〔神社覈録、滋賀縣注進状〕

【原文参照】

『特選神名牒（Tokusen Shimmyo cho）〈明治9年（1876）完成〉』に記される伝承

式内社　倭神社について　所在は゛阪本村〔字森本〕(滋賀郡坂本村大字坂本)゛〈現　倭神社（大津市坂本）〉と記しています

参考として別説゛赤塚村大明神を倭神社と云説あれど　更に據なし゛〈現　倭神社（大津市滋賀里）〉を挙げています

【抜粋意訳】

倭（シトリノ/ヤマトノ）神社　稱 森本社

今按　社傳 祭神 日本武尊と云るは　倭字に附会したること著く　一説 倭文神 建葉槌神と云るは　秘釋に倭文に作るを以て云出たるなれば　共に従がたし　猶よく学べし

祭日　八月十五日
社格　(無格社)
所在　阪本村〔字森本〕(滋賀郡坂本村大字坂本)

　今按　赤塚村大明神を倭神社と云説あれど　更に據なし　こは舊 淀藩より式内 倭神社と定むべき由を命したるよりの誤なれば今とらず
　阪木村にもさして證なけれど森本社と云ひて　日吉摂社なるが神社覈録に天正元年 禰宜祝部行丸ノ記に云　日吉社 外百八社記於に大和庄 拜地未詳」祝部希烈郷云 志賀郡大和と云地名に有事を聞す　今上坂本大和庄の鎭守杜 本社は往古より故實ある社なれば 此社の外 大和社と申べき社なしとみえ　注進状にも此方據ありと云る正ければ之に従ふ

【原文参照】

倭神社（大津市坂本）に「拝 (hai)」(90度のお辞儀)

近江国　式内社　155座（大13座・小142座）について　に戻る