石部神社(いしべじんじゃ)は 創建について「口碑には 垂仁天皇の朝 敕を奉して祭祀する所と云ふ」と社伝にあります 又 神社の北を流れている東河川の「東河」と「刀我」は同じとされます 延喜式内社 但馬國 朝来郡 刀我石部神社(とかのいそへの かみのやしろ)の論社です

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目次
1.ご紹介(Introduction)
この神社の正式名称や呼ばれ方 現在の住所と地図 祀られている神様や神社の歴史について ご紹介します
【神社名(Shrine name)】
石部神社(Ishibe shrine)
【通称名(Common name)】
・『太田文』に云ふ 衣摺社
【鎮座地 (Location) 】
兵庫県朝来市和田山町宮645
【地 図 (Google Map)】
【御祭神 (God's name to pray)】
《主》踏鞴五十鈴姫命(ひめたたら いすずひめのみこと)
《配》天日方奇日方命(あめのひかたくしひかたのみこと)
五十鈴依姫命(いすずよりひめのみこと)
【御神徳 (God's great power)】(ご利益)
【格 式 (Rules of dignity) 】
・『延喜式神名帳(engishiki jimmeicho )927 AD.』所載社
【創 建 (Beginning of history)】
石部神社(イシベジンジャ)
由 緒
創立年月不詳
延喜式の制小社に列し、文久2年(1862)本殿を再建す。
明治6年(1873)10月村社に列せらる
2008 兵庫県神社庁HPより
https://www.hyogo-jinjacho.com/data/6325043.html
石部神社と獅子舞
石部神社は宮地区の氏神で、但馬「太田文」によれば31町歩余りの社田をもつ式内社とされている。この神社の祭礼には、獅子舞の神楽が奉納されている。この神楽は正保4年(1647) 円明寺(宮)建立の際、尾張(愛知県)から来ていた石垣工事の職人が、村人に伊勢音頭と共に教えたものと伝えられている。以来、氏子中に受け継がれて、毎年10月第3日曜日の祭礼に、境内において奉納されている。
和田山町教育委員会
現地案内板より

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【由 緒 (History)】
『朝来志』巻7.8に記される内容
【抜粋意訳】
宮村
東は白井村に連り 西は和田村に交はり 南は久田和村に接し 北は養父郡糸井村に界す 寛政三年の村高、三百三十石六斗七升一合
・・・
・・・刀我石部神社
村の南に在り ーに衣摺明神と稱す 延喜式、朝來郡小八坐のーなり 祭神は天日方奇日方命と稱す村社なり 口碑には 垂仁天皇の朝、敕を奉して祭祀する所と云ふ 盖 俗傳なり然も社地廣潤、巨樹森鬱、且往時 社領あり 以て其尋常村社の比に在らざるを知るへし 一説に石部氏、世、刀我に居る 靈龜元年 社殿を衣摺山の麓に造營し其祖を齋祀す 此社卽是也と宮本池臣云ふ 祭神を天日方奇日方命と云ふは當らず 按するに姓氏錄に石邊公 大國主男、久斯比賀多命之後也、云々 又 石邊は大物主命の兒、櫛日方命之後也なとあるによるなれど石邊は、イソノへ也、イソへにあらず山ノ邊と山部との如しと
但馬式社考に云ふ 神名帳考証云、大物主命と兆刀爲北我神也、倭名抄云、東河、土加、参河國砥鹿神社、一宮記、大己貴命、日本書紀曰、大己貴命之別名、按土人 稱に衣摺大明神。東河庄宮村坐、
太田文に云ふ 衣摺社、拾町五反二十步、地頭、小比良太夫局、神田四町四反、地頭給壹町、公文給五反、定田四町六反二十步
【原文参照】

木村発 編『朝来志』巻7.8,木村発,明36.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/765377

木村発 編『朝来志』巻7.8,木村発,明36.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/765377
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【神社の境内 (Precincts of the shrine)】
・石部神社 社殿

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・〈社殿の横 境内社〉稲荷社
〈境内社〉稲荷社は 元 久田和字トイシバにあった稲荷社 明治45年2月28日合併

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・石部神社 拝殿

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・狛犬

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・手水鉢

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・境内

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・神門

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・〈神門の脇「衣摺の泉」と言われる湧き水〉神池

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・宮神楽(みやかぐら)の案内板
朝来市指定文化財 (無形民俗文化財)
宮神楽(みやかぐら) 平成三年一月八日指定
石部神社の祭礼に奉納される獅子舞。正保四年(一六四七)、円明寺建立の際に尾張から来ていた石垣工事の職人が、伊勢音頭とともに伝えたものといわれている。以来、氏子中に受け継がれて、毎年十月第三日曜日の祭礼にて、境内において奉納されている。
子どもに大人も混ざって、はちまき•たすきがけ・左手に御幣・右手に扇子をかざしながら、笛•太鼓・伊勢音頭の囃子に合わせ、隊列を組んで境内を練り歩く。
その後、獅子舞が奉納される。宮神楽はよく見られる賑やかで勇壮な獅子舞とは異なり静かに神前に奉納する質素な演技が特徴である。
石部神社は宮地区の氏神で、但馬「太田文」によれば三十一町歩余りの社田をもつ式内社とされる。
平成三十年七月三十一日 朝来市教育委員会
現地案内板より

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【神社の境外 (Outside the shrine grounds)】
・東参道の鳥居

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・北参道の鳥居
・〈旧鎮座地〉宮山(不動山)
※宮山の周囲には 獣除けの柵が張り巡らしてあり 入れません
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この神社の予備知識(Preliminary knowledge of this shrine)
この神社は 大和朝廷による編纂書〈六国史・延喜式など〉に記載があり 由緒(格式ある歴史)を持っています
〇『六国史(りっこくし)』
奈良・平安時代に編纂された官撰(かんせん)の6種の国史〈『日本書紀』『續日本紀』『日本後紀』『續日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代實録』〉の総称
〇『延喜式(えんぎしき)』
平安時代中期に編纂された格式(律令の施行細則)
〇『風土記(ふどき)』
『続日本紀』和銅6年(713)5月甲子の条が 風土記編纂の官命であると見られ 記すべき内容として下記の五つが挙げられています
1.国郡郷の名(好字を用いて)
2.産物
3.土地の肥沃の状態
4.地名の起源
5.古老の伝え〈伝えられている旧聞異事〉
現存するものは全て写本
『出雲国風土記』がほぼ完本
『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態
『延喜式神名帳(Engishiki Jimmeicho)』(927年12月編纂)に所載〈This record was completed in December 927 AD.〉
『延喜式(Engishiki)律令の施行細則 全50巻』〈平安時代中期 朝廷編纂〉
その中でも巻9・10を『延喜式神名帳(Engishiki Jimmeicho)』といい 当時〈927年12月編纂〉「官社」に指定された全国の神社(式内社)の一覧となっています
・「官社(式内社)」名称「2861社」
・「鎮座する天神地祇」数「3132座」
[旧 行政区分](Old administrative district)
(神様の鎮座数)山陰道 560座…大37(うち預月次新嘗1)・小523[旧 国 名 ](old county name)
(神様の鎮座数)但馬國 131座(大18座・小113座)
[旧 郡 名 ](old region name)
(神様の鎮座数)朝来郡 9座(大1座・小8座)
[名神大 大 小] 式内小社
[旧 神社 名称 ] 刀我石部神社
[ふ り が な ](とかのいそへの かみのやしろ)
[Old Shrine name](Toka no isohe no kaminoyashiro)
【原文参照】

国立公文書館デジタルアーカイブス 延喜式 刊本(跋刊)[旧蔵者]紅葉山文庫https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/listPhoto?LANG=default&BID=F1000000000000004146&ID=M2014101719562090086&TYPE=&NO=画像利用
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【オタッキーポイント】(This is the point that Otaku conveys.)
あなたが この神社に興味が湧くような予備知識をオタク視点でご紹介します
但馬國に鎮座する「いそへのかみのやしろ」」の社号を持つ式内社とその論社について
但馬國 朝来郡 朝來石部神社
・石部神社(朝来市山東町滝田字マリ)
・熊野神社(朝来市山東町塩田)
但馬國 朝来郡 刀我石部神社
・石部神社〈刀我石部神社〉(朝来市和田山町宮)
但馬國 出石郡 石部神社
・石部神社(豊岡市出石町下谷)
『延喜式神名帳』所載「いそへのかみのやしろ」の社号を持つ式内社とその論社について
『延喜式神名帳』に所載される各々の「いそへのかみのやしろ」は 古代の氏族・「石邊公」「石部氏」に関係する神社 又は 海人族の「磯部氏」に関係する神社とも云われ 数多く分布しています
音は「いそへ」と同じでも その要因は 様々な要素から成り立っていて 特定は非常に難しく その為 各々の神社を検証してみます
【神社にお詣り】(Here's a look at the shrine visit from now on)
この神社にご参拝した時の様子をご紹介します
JR山陰本線 和田山駅から県道273号を東へ約5.7km 車での所要時間は11~15分程
石部神社〈刀我石部神社〉は 社殿と境内は北向きで 北からの北参道が表参道の様です
当日は 東側にある鳥居 東参道? から進みました

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社殿の脇に出てきました
石部神社〈刀我石部神社〉(朝来市和田山町宮)に参着

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東からの参道が 境内の中央辺りで北からの参道と交差しています
拝殿にすすみます

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社殿のある社地は 石垣で養生された一段高い壇になっていて 数段の石段を上がって 拝殿に至ります 拝殿の向かって左には境内社の稲荷社の赤鳥居が見えます

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石段の下には 湧水を利用して手水鉢が設けられています

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賽銭をおさめ お祈りをします
ご神威に添い給うよう願いながら礼 鎮まる御祭神に届かんと かん高い柏手を打ち 両手を合わせ祈ります

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拝殿には 歌碑建設記念の歌会の詠草

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社殿に一礼をして 境内参道を 表参道へと戻ります

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神門の先には 北からの参道が続いていて 北参道の入口には鳥居が建っています

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神門を抜け出ると 湧水で満たされた神池がありました

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東参道へ戻り 東の鳥居を抜けます

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東から神社を眺める

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【神社の伝承】(I will explain the lore of this shrine.)
この神社にかかわる故事や記載されている文献などをご紹介します
『神社覈録(Jinja Kakuroku)〈明治3年(1870年)〉』に記される伝承
式内社 刀我石部神社について 所在は゛東河郷宮村に在す゛〈現 石部神社(朝来市和田山町宮)〉と記しています
【抜粋意訳】
刀我石部神社
刀我は假字也、和名鈔、〔郷名部〕東河、〔土加〕石部は前に同じ
〇祭神詳ならず
〇東河郷宮村に在す〔但馬考〕
太田文云、東河郷四拾町四段四拾歩、〔中略〕八幡宮神人免廿八町二百十分云云、」
但馬考に、刀我石部神社あり、これ太田文の八幡宮にて、今の宮村なるべし シと云へり、類社
伊勢國 朝明郡 石部神社の條見合すべし
【原文参照】

鈴鹿連胤 撰 ほか『神社覈録』下編 ,皇典研究所,1902. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/991015
『神祇志料(Jingishiryo)』〈明治9年(1876)出版〉に記される内容
式内社 刀我石部神社について 所在は゛今 東河宮村にあり、衣摺大明神と云、゛〈現 石部神社(朝来市和田山町宮)〉と記しています
【抜粋意訳】
刀我石部(トカイソベノ)神社
〔〇按 和名鈔、東河郷あり、〕
今 東河宮村にあり、衣摺大明神と云、盖 天日方奇日方命を祀る、〔参取新撰姓氏録、社傳説、〕凡 九月九日を例祭とす、〔但馬考、神社明細帳、神社道志流倍〕
【原文参照】

栗田寛 著『神祇志料』第15−17巻,温故堂,明9-20. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/815497
『特選神名牒(Tokusen Shimmyo cho)〈明治9年(1876)完成〉』に記される伝承
式内社 刀我石部神社について 所在は゛宮村〔字宮山〕(朝來郡東河村大字宮)゛〈現 石部神社(朝来市和田山町宮)〉と記しています
【抜粋意訳】
刀我石部神社
祭神 稱 衣摺大明神
祭日 九月九日
社格 村社所在 宮村〔字宮山〕(朝來郡東河村大字宮)
【原文参照】

教部省 編『特選神名牒』,磯部甲陽堂,1925. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1919019
石部神社〈刀我石部神社〉(朝来市和田山町宮)に「拝 (hai)」(90度のお辞儀)

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