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和御魂(にぎみたま)とは? 意味・神社・『日本書紀』を解説

SHD-0002 和御魂(にぎみたま)とは?意味・神社・『日本書紀』を解説 Edition 1 Master | Version 1.0 | Final Approved Master

和御魂(にぎみたま)は、神の御魂が穏やかに働き、生命や秩序を守る働きです。『古事記』の墨江大神の御魂奉斎と荒御魂、『日本書紀』の王身と寿命を守る和魂を区別し、荒御魂との違い、幸御魂・奇御魂、後世の一霊四魂説、住吉大社・大神神社などの祭祀を、古典本文と神社由緒を分けて解説します。

基本情報

和御魂の基本情報

項目 内容
記事番号 SHD-0002
用語 和御魂
読み方 にぎみたま
別表記 和魂・和御霊(引用では底本の表記に従います)
英語表記 Nigimitama / peaceful or harmonious aspect of a kami
意味 神の御魂が穏やかに働き、生命や秩序を守る働き
分類 神道用語・御魂観・神社祭祀
対概念 荒御魂(あらみたま)
関連概念 御魂・幸御魂・奇御魂・一霊四魂
主要史料 『古事記』中巻・仲哀天皇段/『日本書紀』巻第九・神功皇后紀/『延喜式』巻第八「出雲国造神賀詞」
代表的な関係社 住吉大社・大神神社・住吉神社(下関市)
制作区分 Edition 1 Official Master

Please do not reproduce without prior permission.

第1章 和御魂とは

1-1 神威が穏やかに働く御魂

和御魂(にぎみたま)とは、神の御魂が穏やかに働き、生命や秩序を守る働きを表す神道用語です。荒御魂と対照して説明されますが、単に「優しい性格の神」を意味するものではありません。『日本書紀』では、住吉大神の和魂が王身に付き従い、寿命を守る神威として語られます。

和御魂と荒御魂は、善い神と悪い神の対立ではありません。同じ神の神威に見いだされる異なる働きとして説明されます。ただし、その関係や奉斎の形は史料・神社・時代によって異なるため、一つの図式だけですべてを説明しないことが大切です。

1-2 神そのものとは別なのか

和御魂は、神から完全に分離した別神だけを指す語ではありません。同じ神の御魂に認められた穏やかな働きとして語られる場合や、神社の鎮座伝承・祭祀の中で特定の御魂として奉斎される場合があります。具体的な関係は、それぞれの史料と神社由緒から確認します。

第2章 語義・読み方・表記

2-1 「にぎ」が示す穏やかさ

「にぎ」は、やわらぐこと、穏やかであること、物事が整うことに関係する語です。「御魂」は、神の霊的な本質や働きを尊んでいう表現です。したがって和御魂は、神威が穏やかに働き、生命・平安・秩序を守る面を示す語として理解できます。

2-2 読み方と表記の違い

和御魂の主な表記と読み方

表記 読み 用法・注意点
和御魂 にぎみたま 本記事の標準表記です。
和魂 にぎみたま・にきみたま 古典・研究書・神社由緒で用いられます。
和御霊 にぎみたま 後世の表記として見られます。
荒御魂・荒魂 あらみたま 和御魂と対照される力強い働きです。

本文では検索性と可読性のため「和御魂(にぎみたま)」を標準とし、古典の引用では使用する底本の表記を尊重します。

第3章 『古事記』にみる墨江大神の御魂

3-1 船上で御魂を祭る

『古事記』中巻・仲哀天皇段では、神功皇后が海を渡るにあたり、墨江大神(住吉大神)の御魂を船上に祭るよう教えられます。この段階では、御魂を奉斎して航海の守護を受けることが物語の中心です。

3-2 『古事記』で明記される荒御魂

新羅を服従させた後の記述では、墨江大神の荒御魂を国守神として祭り鎮めたことが明記されます。

『古事記』に記された墨江大神の荒御魂

区分 本文
原文 即以墨江大神之荒御魂、為国守神而祭鎮、還渡也。
訓読 即ち墨江大神の荒御魂を以ちて、国守神と為して祭り鎮めて、還り渡りき。
現代語訳 そこで墨江大神の荒御魂を国を守る神として祭り鎮め、帰還した、という趣旨です。
注意 『古事記』本文は、和御魂が王身と寿命を守るという『日本書紀』の表現と同一ではありません。

『古事記』に住吉大神の和御魂と荒御魂の完成した対照表が記されるわけではありません。和魂が王身に付き従って寿命を守るという明確な表現は、次章で扱う『日本書紀』に見えます。

第4章 『日本書紀』にみる和魂

4-1 和魂は王身に付き従って寿命を守る

『日本書紀』巻第九・神功皇后紀では、住吉三神が和魂と荒魂の異なる働きを告げます。和魂は皇后に付き従って寿命を守り、荒魂は先鋒となって船団を導くと語られます。

『日本書紀』に記された和魂と荒魂

区分 本文
原文 和魂服王身而守壽命。荒魂爲先鋒而導師船。
訓読 和魂は王身に服ひて寿命を守らむ。荒魂は先鋒として師船を導かむ。
現代語訳 和魂は皇后に付き従って命を守り、荒魂は先頭に立って船団を導く、という趣旨です。
注意 この説話における住吉大神の働きであり、すべての和御魂・荒御魂に共通する固定的な機能表ではありません。

4-2 帰還後の和魂奉斎

帰還後の神託では、住吉大神の和魂を大津の渟中倉の長峡に祭ることが語られます。國學院大學の古典文化学資料は、これを住吉大社の鎮座伝承に関わる記事として整理しています。古典の地名比定や現在の神社由緒は、物語本文と区別しながら参照する必要があります。

第5章 「出雲国造神賀詞」と和魂

5-1 大穴持命の和魂と大御和の神奈備

『延喜式』巻第八に収められる「出雲国造神賀詞」では、大穴持命が自らの和魂を八咫鏡に取り託け、「倭大物主櫛甕玉命」と御名を称えて、大御和の神奈備に鎮めたと奏上します。

この詞章は、大穴持命の和魂、大物主神、大御和すなわち三輪の祭祀を結ぶ重要な史料です。ただし、『日本書紀』の幸魂・奇魂による三諸山鎮座伝承や、現在の大神神社の公式由緒とは、史料の種類と成立時期を分けて読みます。

5-2 『出雲国風土記』との混同を避ける

大穴持命の和魂を大御和の神奈備に鎮める詞章は、「出雲国造神賀詞」にあります。これを『出雲国風土記』意宇郡条の本文として引用することはできません。本文・参考文献とも史料名を統一します。

第6章 荒御魂との違い

和御魂と荒御魂の働きの違い

御魂 中心的な捉え方 古典にみる代表的表現
和御魂 穏やかに働き、生命・平安・秩序を守る神威 王身に付き従い、寿命を守る
荒御魂 力強く前面に現れ、守護・先導などを担う神威 国守神/先鋒として船団を導く

和御魂と荒御魂は善悪の区分ではなく、相補的な働きとして語られます。また、荒御魂を祭れば必ず和御魂へ変化する、あるいは荒御魂が常に災いを起こすという説明も、すべての史料や祭祀に当てはまるわけではありません。

別宮・摂社などで荒御魂を区別して奉斎する例がある一方、和御魂が同じ形式で必ず別殿に祭られるわけではありません。祭祀上の配置は神社ごとに確認します。

第7章 幸御魂・奇御魂との関係

7-1 『日本書紀』の幸魂・奇魂

『日本書紀』神代上の一書では、大己貴神の前に現れた神が「吾は汝が幸魂・奇魂なり」と告げ、三諸山に住むことを望みます。これは国作りと三諸山鎮座をめぐる文脈であり、住吉大神の和魂・荒魂の記事とは別の説話です。

7-2 大神神社による説明

大神神社は、大物主大神を大国主神の幸魂・奇魂として三輪山に鎮まった神と説明しています。また公式解説では、幸魂・奇魂を和魂の働きとして示しています。これは大神神社の信仰と由緒に即して理解する必要があります。

和御魂・幸御魂・奇御魂の関係

御魂 一般的な説明 注意点
和御魂 穏やかに働き、生命や秩序を守る 住吉大神の和魂が代表的な古典用例です。
幸御魂 幸いをもたらす働き 奇御魂とともに国作りの説話に現れます。
奇御魂 霊妙な働き 細かな機能分けには後世の説明も含まれます。

第8章 一霊四魂説における和御魂

8-1 後世に整理された四つの働き

一霊四魂は、一つの霊に荒御魂・和御魂・幸御魂・奇御魂という四つの働きを認める神道説です。現代では神道の御魂観を説明する枠組みとして知られています。

ただし、記紀には和魂・荒魂の記事と幸魂・奇魂の記事が別々の文脈で現れ、四つの御魂が同一箇所で一つの体系として定義されるわけではありません。古代の用例、近世の神道・国学上の解釈、近代以降の普及した説明を区別します。

8-2 和御魂を人格類型に置き換えない

和御魂を人の性格診断や心理類型へ直接置き換えると、古典と神社祭祀に根差した意味が失われます。本記事では、後世の説明を紹介する場合も、古典本文そのものと区別して示します。

第9章 和御魂を理解する代表的な神社・記事

9-1 住吉大社――住吉大神の和魂奉斎伝承

住吉大社は、『日本書紀』神功皇后紀にみえる住吉大神の和魂奉斎と関係する代表的な神社です。

URL:https://shrineheritager.com/sumiyoshi-taisha/

住吉大社
住吉大社(大阪市住吉区住吉)〈摂津國一之宮〉

住吉大社(すみよしたいしゃ)は 『日本書紀』に神功皇后が三韓征伐の帰路 住吉三神の神託を得て 住吉大神の和魂(にきみたま)を鎮めて祀ったのが創建と記される 全国に2000社余ある住吉神社の総本社で 摂津國一之宮です 延喜式内社 住吉坐神社四座(並 名神大月次相嘗新嘗)(すみのえにます かみのやしろ しくら)です

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9-2 大神神社――大物主大神と和魂・幸魂・奇魂

大神神社では、大物主大神と大国主神の幸魂・奇魂、和魂の関係を、三輪山鎮座の由緒とともに確認できます。

URL:https://shrineheritager.com/ohomiwa-shrine/

大神神社
大神神社(桜井市三輪)〈三輪山を〈御神体〉とする大和國一之宮〉

大神神社(おおみわじんじゃ)は 『記紀神話』に創建に関わる伝承が記されており 『延喜式』には名神大社と所載される 大和国一之宮です 古来から本殿は設けず 拝殿の奥にある三ッ鳥居を通し 三輪山〈御神体〉に祈りを捧げる原初の神祀りで 我が国最古の神社と呼ばれています 神社の社殿が成立する以前の祭祀の姿を今に伝えています 

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9-3 住吉神社(下関市)――荒魂奉斎との対照

長門国一之宮の住吉神社は、住吉三神の荒魂を穴門の山田邑に祭る伝承と関係します。住吉大社の和魂奉斎と対照して理解できます。

URL:https://shrineheritager.com/sumiyoshi-shrine-7/

住吉神社(下関市)
住吉神社(下関市一の宮住吉)〈『延喜式』住吉坐荒御魂神社三座〔並名神大〕〉

住吉神社(すみよしじんじゃ)は 『日本書紀』に記される 神功皇后が三韓征伐より凱旋の折 神託を得て 住吉三神の荒魂(あらみたま)を穴門 山田邑(現在地)に奉斎したとこれが住吉神社の起こりとされます 式内社 住吉坐荒御魂神社三座(並名神大)(すみよしにゐますあらみたまの かみのやしろ みくら)・長門国一之宮です

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9-4 大国主神――三諸山鎮座神話を確認する

大国主神の記事では、国作り、幸魂・奇魂、三諸山鎮座をめぐる神話の流れを確認できます。

URL:https://shrineheritager.com/ohokuninushi-no-kami/

大国主神の神話
”時の架け橋” 大国主神(おほくにぬしのかみ)『古事記』に登場する神話の舞台

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和御魂を理解する代表的な神社・記事

神社・記事 関係する御魂・史料 本記事での位置付け
住吉大社 住吉大神の和魂奉斎伝承 和御魂に直接関係する代表例
大神神社 大物主大神・幸魂・奇魂・和魂 神賀詞・神話・神社由緒の比較
住吉神社(下関市) 住吉三神の荒魂奉斎伝承 和魂と荒魂の対照例
大国主神の記事 幸魂・奇魂と三諸山鎮座 関連神話の解説

第10章 よくある質問(FAQ)

Q1 和御魂とは簡単にいうと何ですか

神の御魂が穏やかに働き、生命・平安・秩序を守る働きです。

Q2 「にぎみたま」と「にきみたま」はどちらが正しいですか

どちらの読みも用例があります。本記事では、現在広く用いられる「にぎみたま」を標準とします。

Q3 和御魂と荒御魂は善悪の関係ですか

善悪の関係ではありません。神威が穏やかに守る働きと、力強く前面に現れる働きとして対照されます。

Q4 和御魂は『古事記』と『日本書紀』の両方に明記されますか

和魂が王身に付き従って寿命を守るという明確な記述は『日本書紀』にあります。『古事記』は墨江大神の御魂を船上に祭る記事と、荒御魂を国守神として祭る記事を伝えます。

Q5 和御魂を祭る代表的な神社はどこですか

住吉大神の和魂奉斎伝承に関係する住吉大社が代表例です。大神神社では、大物主大神と和魂・幸魂・奇魂の関係が公式由緒で説明されています。

Q6 一霊四魂は記紀に完成した体系として書かれていますか

記紀には関連する御魂の語が現れますが、現在知られる四魂の体系が一つの箇所で定義されているわけではありません。

第11章 Shrine Heritager編集部考察

和御魂を「優しい神」とだけ説明すると、『日本書紀』にみえる生命守護の働きや、「出雲国造神賀詞」にみえる祭祀上の位置付けを十分に捉えられません。一方、現代的な「調和」「癒やし」の語だけへ置き換えると、古典と祭祀の文脈から離れてしまいます。

和御魂を理解するには、『古事記』と『日本書紀』の記述を混同せず、住吉大神の和魂、大穴持命の和魂、幸魂・奇魂、後世の一霊四魂説という各層を分けることが重要です。

第12章 関連項目(See also)・内部リンク

関連項目・内部リンク

記事名 URL 関係
荒御魂(あらみたま) https://shrineheritager.com/aramitama/ 和御魂と対照される力強い神威
住吉大社 https://shrineheritager.com/sumiyoshi-taisha/ 住吉大神の和魂奉斎伝承
大神神社 https://shrineheritager.com/ohomiwa-shrine/ 大物主大神と和魂・幸魂・奇魂
住吉神社(下関市) https://shrineheritager.com/sumiyoshi-shrine-7/ 住吉三神の荒魂奉斎伝承
大国主神 https://shrineheritager.com/ohokuninushi-no-kami/ 幸魂・奇魂と三諸山鎮座神話
幸御魂・奇御魂・御魂・一霊四魂 作成予定 和御魂に関係する用語

第13章 参考文献

  • 倉野憲司校注『古事記』岩波文庫、岩波書店、1963年。
  • 坂本太郎・家永三郎・井上光貞・大野晋校注『日本書紀(一)』岩波文庫、岩波書店、1994年。
  • 黒板勝美・國史大系編修会編『交替式・弘仁式・延喜式 前篇』新訂増補国史大系第26巻、吉川弘文館、1965年。
  • 國學院大學日本文化研究所編『神道事典』弘文堂、1994年。
  • 薗田稔・橋本政宣編『神道史大辞典』吉川弘文館、2004年。
  • 安津素彦・梅田義彦編集兼監修『神道辞典』神社新報社、1968年。

第14章 External Links(外部リンク)

國學院大學 Encyclopedia of Shinto「Nigimitama」
https://d-museum.kokugakuin.ac.jp/eos/detail/?id=8736
和御魂の語義、荒御魂との対照、祭祀による鎮まりを確認できます。

國學院大學 古典文化学事業「墨江之三前大神」
https://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/suminoenomimaenookami/
『古事記』の墨江大神、荒御魂の国守神奉斎、『日本書紀』の和魂・荒魂と住吉大社の鎮座伝承を確認できます。

大神神社「ご由緒」
https://oomiwa.or.jp/jinja/goyuisho/
大物主大神、幸魂・奇魂、三輪山鎮座の神話と大神神社の祭祀を確認できます。

住吉大社公式サイト
https://www.sumiyoshitaisha.net/
住吉大社の祭神・由緒・祭祀を確認できます。

国立国会図書館レファレンス協同データベース
https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000102130&page=ref_view
荒魂・和魂に関する基礎文献を確認できます。

第15章 更新履歴(Revision History)

更新履歴

日付 更新内容
2026年7月29日 Edition 1/Version 1.0 旧版の基礎構成を公開。
2026年8月11日 Edition 1 Official Master 『古事記』と『日本書紀』の史料区分、15章構成、重複、表HTML、内部・外部リンク、投稿ID、参考文献、更新日、SEO記録を全面再監査。

SEO・公開情報

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主要検索語句 和御魂とは/和御魂 意味/和御魂 荒御魂 違い/和御魂 日本書紀 神社
確認方法 2026年8月11日に公開検索結果を実際に照合しました。検索量は推測していません。
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記事番号 SHD-0002

メタディスクリプション

和御魂(にぎみたま)の意味を、『日本書紀』の住吉大神の和魂から解説します。『古事記』との違い、荒御魂との関係、幸御魂・奇御魂、後世の一霊四魂説、住吉大社・大神神社の祭祀を、古典本文と神社由緒を分けて紹介します。

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