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相殿(あいどの)とは?意味・合祀との違い・神社の実例を解説

SHD-0016 相殿(あいどの)とは?意味・合祀との違い・神社の実例を解説 Edition 1 Master Rev.1

相殿(あいどの)とは、主神を含む複数の神を同じ社殿にともに祀ること、またはその社殿を指します。本記事では、相殿神の意味、合祀・配祀・別殿・相殿造との違い、『延喜式』『日本三代実録』の記述、相殿が成立した経緯、代表的な神社の実例と調べ方を、史料と公式由緒に基づいて解説します。

相殿の基本情報

用語 相殿
読み方 あいどの
別表記 合殿、会殿
英語表記 Shared sanctuary / Joint enshrinement in one sanctuary(説明的英訳)
意味 主神を含む複数の神を同じ社殿に祀ること、またはその社殿
分類 神社祭祀/祭神構成/神社建築
対概念 単独奉斎、別殿奉斎
関連概念 相殿神、主祭神、配祀、合祀、別殿、神座、相殿造

第1章 相殿とは

1-1 複数の神を同じ社殿に祀る相殿

相殿(あいどの)とは、主神を含む複数の神を一つの社殿にともに祀ること、または複数の神が祀られている社殿を指します。同じ社殿に祀られる神は、相殿神(あいどののかみ・あいどのしん)と呼ばれます。

神社の祭神表示に「主祭神 ○○命」「相殿神 △△命・□□命」とある場合、○○命を中心となる祭神として祀り、同じ本殿内に△△命・□□命も奉斎していることを表します。ただし、相殿に祀られるすべての神を主神として扱う場合もあります。

1-2 相殿は祭祀の状態と社殿の両方を表す

相殿という語は、「複数の神を同じ殿内に祀る」という祭祀の状態と、そのための社殿という二つの意味で使われます。そのため、文章を読む際は、奉斎の方法を指しているのか、建物を指しているのかを文脈から確認する必要があります。

1-3 複数祭神であっても相殿とは限らない

祭神が複数記されていても、必ず相殿とは限りません。神ごとに独立した本殿を設ける神社、本殿と別殿に分けて祀る神社、主祭神を本殿に祀り関係神を摂社・末社に祀る神社もあります。相殿かどうかを判断するには、祭神の数だけでなく、どの神がどの社殿に祀られているかを確認します。

1-4 主祭神と相殿神の関係

主祭神と相殿神の区分は、その神社における祭神構成、由緒、奉斎される場所を示します。相殿神には、主祭神の配偶神・親神・御子神、神話上の関係神、他社から勧請された神、独立社から遷された神などがあります。同じ神でも、神社によって主祭神となる場合と相殿神となる場合があります。

第2章 相殿の語義・表記・相殿神

2-1 「相」と「殿」が表す意味

「相」には「互いに」「ともに」という意味があります。「殿」は、ここでは神を奉斎する神殿・社殿を表します。したがって相殿は、文字どおりには複数の神がともに鎮まる殿を意味します。

2-2 相殿・合殿・会殿の表記

現在の神社由緒では「相殿」が広く用いられますが、史料には「合殿」「会殿」と記される場合があります。表記が異なっても常に同一の用法とは限らないため、原史料の時代、文章の性格、対象となる神社の公式表記を確認します。

2-3 相殿神とは

相殿神は、同じ殿内に祀られる神を指します。主祭神と配祀神を区別する神社では、配祀神を相殿神と呼ぶことが多くあります。一方、複数の神をすべて主神として相殿に祀る例もあるため、「相殿神=必ず配祀神」と一律には定義できません。

2-4 相殿神と配祀神の違い

相殿神と配祀神は、同じ意味に近い形で使われる場合がありますが、説明の中心が異なります。相殿神は、主祭神などと同じ社殿に祀られている神を指し、どの社殿に奉斎されるかという場所に重点があります。これに対して配祀神は、主祭神とともに祀られる神を指し、祭神構成上の位置づけに重点があります。

配祀神が主祭神と同じ本殿に祀られていれば、相殿神でもあると説明できます。しかし、配祀神が別殿や境内社に祀られている場合には、同じ社殿に祀られる相殿神とは区別する必要があります。

神社によっては「相殿神」「配祀神」「配神」などの名称を厳密に使い分けていない場合もあります。名称だけで判断せず、各神社の公式な祭神表記と奉斎場所を確認します。

相殿神と配祀神の基本的な違い
名称 説明の中心 主な確認点
相殿神 主祭神などと同じ社殿に祀られる神 奉斎される社殿・神座
配祀神 主祭神とともに祀られる神 祭神構成上の位置づけ

2-5 神社ごとの公式表記を尊重する

「主祭神」「相殿神」「配祀神」の用い方は神社によって異なります。記事では一般的な意味を示したうえで、個別神社については公式サイト、由緒書、祭神表示などに記された名称を優先します。

第3章 古代史料にみえる相殿

3-1 『延喜式』にみえる「相殿坐神」

平安時代の法令集『延喜式』には、伊勢神宮の祭祀に関して「相殿坐神」と記す箇所があります。神名帳では、大神宮三座について相殿に坐す神二座、度会宮四座について相殿に坐す神三座とする記載が確認できます。これは、単に複数の座を記すだけでなく、相殿に鎮まる神がいることを示す重要な用例です。

ただし、現在の社殿構成をそのまま古代へ当てはめることはできません。条文が示す祭神数と奉斎関係を確認しつつ、具体的な内陣構造については儀式帳、造営記録、神宮の公式説明などをあわせて検討します。

3-2 『日本三代実録』の「合殿比咩神」

『日本三代実録』貞観元年(859)正月27日条には、平野社の神々への神階授与に関連して「合殿比咩神」の名が見えます。伝本や引用では「相殿比売神」などの表記もあります。

正五位下合殿比咩神正五位上。

これは合殿比咩神を正五位上へ進めたことを記す記事です。名称の中に「合殿」が含まれますが、この一文だけで当時の社殿平面や神座配置まで復原することはできません。神名と社殿構造に関する証拠を区別する必要があります。

3-3 『延喜式神名帳』の複数座

『延喜式神名帳』には「一座」「二座」「三座」など、祭祀の対象となる神の座数が記されます。しかし「三座」とあるだけでは、三座が一棟の本殿に相殿されていたのか、複数の社殿に分かれていたのかまでは分かりません。座数は本殿の棟数や扉の数を直接表す数字ではありません。

3-4 六国史の神名併記を相殿の証拠としない

六国史では、同じ日に複数の神へ神階を授けた記事や、同じ国の神々をまとめて記した記事があります。複数神が同じ記事に並ぶことは、同時の行政処分や奉幣を示しても、同じ社殿に祀られていたことを示すとは限りません。相殿を検討する際は、社記、造営記録、棟札、古絵図、建築資料などとの照合が必要です。

第4章 相殿の歴史

4-1 古代祭祀における同殿奉斎

『延喜式』の「相殿坐神」などから、古代にも同じ殿に複数の神を奉斎する観念があったことを確認できます。ただし、個々の神社でいつ相殿が成立し、どのような社殿で祀られたかは、神社ごとの史料によって判断します。

4-2 中世・近世の社殿再編

神社では、戦乱・火災・風水害による社殿の損失、造営地の変更、領主による再建などを契機として、社殿配置が変わることがあります。別々の社に祀られていた神が、再建後に一棟へまとめられる場合もあります。

4-3 勧請によって加わった神

新たな守護、疫病除け、火難除け、五穀豊穣などを願い、他社から神を勧請して既存本殿に祀ることがあります。創建時からの祭神と、後世に迎えた祭神が同じ殿に祀られることで、相殿が成立します。

4-4 独立社の統合と相殿化

かつて独立して祀られていた神社や境内社が、遷座・境内整理・再建などによって別の社殿へ移されることがあります。移された神が既存本殿内に奉斎されれば相殿となりますが、別殿や境内社を新設した場合は相殿とは限りません。

4-5 明治期の神社整理・神社合祀

明治末期には、小規模な神社を地域の中心的な神社へ統合する神社整理・神社合祀が各地で進められました。合祀された神を既存本殿内へ迎えた結果、相殿神が増えた例があります。一方、合祀後も別殿や境内社に祀られた例があるため、合祀された事実だけで相殿と判断することはできません。

4-6 現在の相殿が創建時から続くとは限らない

現在、一つの本殿に複数の神が祀られていても、その形が神社の創建時から続いているとは限りません。社殿の焼失・再建、祭神の勧請、別社からの遷座、境内社の統合、近代の神社合祀などによって、祭神の構成や奉斎する場所が変わることがあります。

現在の祭神表示や社殿配置だけを根拠として、創建時にも同じ相殿形式だったと判断することはできません。相殿が成立した時期を考える場合は、社記・由緒・棟札・造営記録・古絵図などを確認します。

第5章 神社祭祀における相殿の役割

5-1 関係の深い神々をともに祀る

主祭神の配偶神、親神、御子神、同じ神話に登場する神などを同じ殿に祀る例があります。祭神構成は単に数を増やしたものではなく、神話・由緒・祭祀上の関係を表すことがあります。

5-2 新たに勧請した神を迎える

他社から新たに神を勧請し、既存の祭神と同じ本殿に奉斎する場合があります。勧請の目的や時期は神社ごとに異なるため、社伝と確認できる史料を分けて記します。

5-3 遷座・合祀された神を奉斎する

独立社が移転・統合された後、その祭神を既存社殿に迎えることで祭祀が継続される場合があります。相殿は、神々を一つの建物にまとめるだけでなく、各社が伝えてきた祭祀を新しい構成の中で受け継ぐ形にもなります。

5-4 祭典における扱いは神社ごとに異なる

相殿神への神饌、幣帛、祝詞、神座の設け方などは、神社の由緒と祭式によって異なります。すべての相殿に共通する固定された祭典順序があるとはいえません。公開されている由緒・祭式・神社公式説明の範囲で確認します。

5-5 相殿神は祭祀上の位置づけを示す名称

「主祭神」「相殿神」という区分は、その神社における祭神構成や由緒、奉斎される社殿上の位置づけを示します。相殿神という名称だけを根拠として、その神が他の神社でも従属的に扱われる、あるいは神々の間に普遍的な上下関係があると判断することはできません。

相殿神については、各神社の公式な祭神表記、勧請・遷座・合祀の経緯、祭祀上の扱いを個別に確認する必要があります。

第6章 相殿の主な成立類型

相殿が成立する主な経緯

成立類型 主な内容 確認する資料
創建時からの複数神奉斎 神話・氏族伝承・祭祀上の関係神をともに祀る 古記録、社伝、縁起
関係神の追加 配偶神・親神・御子神などを加える 祭神表、社記
勧請 他社から神を迎えて既存本殿に祀る 勧請伝承、奉斎記録
遷座・再建 社殿の移転・焼失・再建に伴い一棟へまとめる 棟札、造営帳、古絵図
神社合祀 独立社の祭神を既存本殿内へ迎える 合祀記録、神社明細帳

第7章 相殿と似た用語・祭祀形態の違い

7-1 相殿と合祀の違い

合祀は、ある神を別の神社や祭祀へあわせ祀る行為・経緯を表します。相殿は、複数の神が同じ社殿に祀られている状態・形式を表します。合祀の結果として相殿になることはありますが、合祀された神を別殿や境内社に祀れば、同じ殿内の相殿とは異なります。

7-2 相殿と配祀の違い

配祀は、主祭神にほかの神を加えて祀るという祭神構成上の位置づけに重点があります。相殿は、同じ社殿に祀るという奉斎場所に重点があります。配祀神が相殿神となる例は多くありますが、神社の公式表記と実際の奉斎場所を確認します。

7-3 相殿と別殿・摂社・末社の違い

別殿は神を本殿とは別の社殿に祀る形式です。摂社・末社は本社に付属する神社で、通常は本社とは別の社殿・神座をもちます。同じ境内に複数の神が祀られていても、社殿が別であれば典型的な相殿とは区別されます。

7-4 相殿と複数本殿の違い

春日大社のように、複数の本殿が並び、神ごとに一棟を設ける構成があります。神社全体では複数祭神を祀りますが、一棟の本殿内に複数神を祀る相殿とは異なります。宇佐神宮も、一之御殿・二之御殿・三之御殿に祭神を分ける構成です。

7-5 相殿と相殿造の違い

相殿は複数神の奉斎関係と社殿を表します。相殿造は、二社以上の神殿を一棟にまとめる建築構成を説明する用語です。神明造・大社造・春日造・流造などが屋根、入口、平面などの形態を表すのに対し、相殿造は複数神殿の結合や奉斎関係に着目した呼称です。両者は同じ分類軸ではありません。

相殿・合祀・配祀・別殿・相殿造の違い

用語 基本的な意味 説明の中心
相殿 複数神を同じ社殿に祀る 奉斎場所・祭祀状態
合祀 神を別の祭祀へあわせ祀る 行為・成立経緯
配祀 主祭神にほかの神を加えて祀る 祭神構成
別殿 神を別の社殿に祀る 社殿配置
相殿造 二社以上の神殿を一棟にまとめる 建築構成

第8章 相殿を理解する代表的な神社

8-1 丹生川上神社 中社―主祭神と相殿神が明記される例

奈良県吉野郡東吉野村の丹生川上神社 中社では、本殿の主祭神を罔象女神、相殿神を伊邪奈美命・伊邪奈岐命と公式に示しています。主祭神と相殿神の関係を明確に確認できる例です。

主祭神と相殿神を明記する丹生川上神社 中社については、次の記事で詳しく紹介しています。

URL: https://shrineheritager.com/niukawakami-shrine/

主祭神と相殿神を明記する丹生川上神社 中社
丹生川上神社 中社(吉野郡東吉野村大字小)〈延喜式内社 名神大社〉

丹生川上神社〈中社〉(にゅうかわかみじんじゃ)は 白鳳4年(675)に創祀され 雨師明神・水神宗社として 雨乞いには黒馬を 雨止めには白馬又は赤馬が献上された 延喜式内社 大和國 吉野郡 丹生川上神社(貞・名神大 月次 新嘗)(にふの かはすみの かみのやしろ)で 下社・上社・中社の三つの論社の内 中社(なかしゃ)です

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8-2 當島八幡神社―式内社を相殿に祀る例

広島県福山市の當島八幡神社は、由緒に『延喜式神名帳』所載の多理比理神社を相殿に合祀したと伝えます。独立して祀られた神社の祭神が、後世に別の神社の相殿へ迎えられた例として扱います。成立年代などは、記事に掲げる史料と社伝の区別を明示します。

相殿に多理比理神社を祀る由緒については、次の記事で詳しく紹介しています。

URL: https://shrineheritager.com/toshima-hachuman-shrine/

多理比理神社を相殿に祀る當島八幡神社
當島八幡神社〈相殿『延喜式』多理比理神社〉(福山市駅家町上山守)

當島八幡神社(とうしまはちまんじんじゃ)〈相殿 多理比理神社〉は 大同二年(八O七年)豊後の国(大分県)宇佐八幡宮の御分霊を勧請して祀られた 延元元年(一三三六年)『延喜式神名帳927 AD.』所載の多理比理神社を相殿に合祀し 現在地に社殿を再建して以後 當島八幡神社として祭祀が執り行われています

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8-3 水尾神社の境内社―近代の統合による一殿奉斎

滋賀県高島市の水尾神社では、境内の八幡神社・神明神社・秋葉神社について、もとは独立していた三社が明治44年(1911)に一殿へ統合されたことが紹介されています。近代の神社整理に伴い、複数社の祭神を一つの殿に奉斎した具体例です。

独立していた三社が一殿へ統合された例については、次の記事で確認できます。

URL: https://shrineheritager.com/mio-shrine/

近代の統合による一殿奉斎を伝える水尾神社
水尾神社(高島市拝戸)〈『続日本紀』『三代実録』三尾神・『延喜式』水尾神社〉

水尾神社(みおじんじゃ)は 元々は(河南社 河北社)二座がありましたが 現在は河南社に統合されています 河北社の祭神 振姫〔第26代 継体天皇の生母〕は 当社拝殿を産所として生まれたと伝わります 継体天皇 延喜式内社 近江國 高嶋郡 水尾神社〔並 名神大 月次 新嘗〕(みをの かみのやしろ ふたくら)です

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8-4 春日大社―四柱を四棟の本殿に祀る比較例

春日大社は、武甕槌命・経津主命・天児屋根命・比売神の四柱を祀ります。ただし、一棟の本殿内に四柱を相殿するのではなく、第一殿から第四殿まで四棟の春日造本殿に、それぞれ一柱を奉斎します。複数祭神と相殿を同一視しないための比較例です。

春日四柱と四棟の本殿構成については、次の記事で詳しく紹介しています。

URL: https://shrineheritager.com/kasuga-taisha-shrine/

春日四柱を四棟の本殿に祀る春日大社
春日大社(奈良市春日野町)〈『延喜式』春日祭神四座〔並 名神大 月次 新嘗〕〉

春日大社(かすがたいしゃ)は 社記によると 神護景雲二年(768)・武甕槌命〈常陸国 鹿島神宮〉・経津主命〈下総国 香取神宮〉・天児屋根命〈河内国 枚岡神社〉・比売神〈河内国 枚岡神社〉を併せ 御蓋山(みかさやま)麓に四殿の社殿を造営し 四座が鎮座して 春日大社が創建されたと伝えています

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8-5 宇佐神宮―三柱を三つの御殿に祀る比較例

宇佐神宮では、八幡大神・比売大神・神功皇后を祀ります。上宮・下宮には一之御殿・二之御殿・三之御殿が設けられ、それぞれの御殿に祭神が奉斎されています。三柱を一つの内陣に祀る単純な相殿例ではなく、複数御殿による祭祀構成として理解します。

宇佐神宮の三つの御殿と祭神については、次の記事で詳しく紹介しています。

URL: https://shrineheritager.com/usa-jingu/

三柱を三つの御殿に祀る宇佐神宮
宇佐神宮(宇佐市南宇佐)〈『延喜式』八幡大菩薩宇佐宮〔名神大〕〉

宇佐神宮(うさじんぐう)は 全国4万社余りの八幡社の総本宮です 豊前国一之宮でもあります 神亀2年(725)創建以来 皇室から「伊勢神宮」につぐ「第二の宗廟(sobyo)」としての崇敬を受けています 信仰の地となってから約1300年 境内に足を踏み入れれば 日本の息吹が伝わります

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第9章 相殿を調べる方法と参拝時の見方

9-1 神社公式の祭神表示を確認する

最初に、神社公式サイト、由緒書、境内案内板などで「主祭神」「相殿神」「配祀神」の表記を確認します。第三者のまとめだけで判断せず、神社が公式に示す祭神名と奉斎場所を基準にします。

9-2 本殿の棟数と御殿の区分を確認する

本殿が一棟か複数棟か、第一殿・第二殿などの区分があるか、別殿・境内社に祭神が分かれていないかを確認します。ただし、本殿内部は通常公開されないため、外観だけで神座数を断定しません。

9-3 社記・棟札・造営記録を確認する

相殿の成立時期を知るには、社記、縁起、棟札、造営帳、古絵図、自治体の文化財資料などが役立ちます。再建時に社殿が統合された場合、棟札や造営記録に祭神・社殿の変化が記されることがあります。

9-4 合祀・遷座・再建の履歴を確認する

現在の相殿神が創建時から祀られていたのか、後世に勧請されたのか、別社から遷されたのかを確認します。「いつ」「どこから」「どのような理由で」祀られたかを整理すると、相殿成立の経緯が分かります。

9-5 扉の数だけで祭神数を判断しない

本殿正面の扉が三つあるから三柱を祀るとは限りません。また、扉が一つでも内部に複数の神座が設けられる場合があります。外観は参考になりますが、祭神表示や建築資料との照合が必要です。

9-6 『延喜式』の「二座・三座」と現在の祭神数は同じとは限らない

『延喜式神名帳』には、神社名の後に「一座」「二座」「三座」などと記される例があります。「座」は、朝廷の祭祀の対象となる神を数える単位です。

ただし、『延喜式』に「三座」と記されているからといって、現在その神社に祀られている三柱の神と必ず同じであるとは限りません。また、三座が一つの本殿に相殿されていたことを示すとも限りません。社記・由緒・造営記録などもあわせて確認します。

9-7 本殿内部の非公開部分に配慮する

本殿内部や神座は、祭祀上の理由から通常公開されません。相殿を調べるために内部を無断で撮影したり、立入禁止区域へ入ったりしてはいけません。公式説明、公開された文化財資料、神社が認めた範囲の情報を用います。

第10章 よくある質問(FAQ)

Q1 相殿とは何ですか?

主神を含む複数の神を同じ社殿に祀ること、またはその社殿です。

Q2 相殿は何と読みますか?

「あいどの」と読みます。史料には「合殿」「会殿」と記される場合があります。

Q3 相殿神とは何ですか?

主祭神などと同じ殿内に祀られる神です。神社によっては、相殿に祀る複数神をすべて主神とします。

Q4 相殿神は主祭神より格が低いのですか?

相殿神は、その神社における祭祀上・社殿上の位置づけを示す名称です。神々の普遍的な上下関係を示すものではありません。

Q5 複数の祭神がいれば相殿ですか?

いいえ。神ごとに別の本殿、別殿、摂社・末社へ祀られる場合もあります。

Q6 相殿と合祀は同じですか?

同じではありません。合祀は神をあわせ祀る行為・経緯、相殿は複数神を同じ社殿に祀る状態・形式です。

Q7 相殿と配祀は同じですか?

配祀は祭神構成上の位置づけ、相殿は奉斎場所に重点があります。配祀神が相殿神となることはあります。

Q8 相殿と別殿はどう違いますか?

相殿は同じ社殿に祀る形式、別殿は神を別の社殿に祀る形式です。

Q9 相殿と摂社・末社はどう違いますか?

相殿は同じ殿内の奉斎です。摂社・末社は本社に付属する神社で、通常は別の社殿・神座をもちます。

Q10 『延喜式神名帳』の「三座」は相殿を意味しますか?

三座が祭祀対象であったことは示しますが、同じ本殿に祀られたことまでは分かりません。

Q11 相殿造とは正式な建築用語ですか?

神道事典では、二社以上の神殿を一棟にまとめる構成として説明されます。ただし、流造・春日造などとは説明の軸が異なります。

Q12 春日大社は相殿ですか?

春日四柱を祀りますが、四棟の本殿にそれぞれ一柱を奉斎するため、典型的な一棟内相殿とは区別します。

Q13 宇佐神宮は相殿ですか?

三柱を一之御殿・二之御殿・三之御殿に分けて奉斎する構成で、単純な一殿内相殿とは異なります。

Q14 相殿かどうかは外観から分かりますか?

外観だけでは分からないことがあります。公式祭神表示、社殿配置、社記、造営記録などを確認します。

Q15 相殿神はどのように調べますか?

神社公式サイト、由緒書、境内案内、祭神表示を確認し、必要に応じて社記・棟札・文化財資料・『延喜式』などを照合します。

第11章 Shrine Heritager編集部考察

11-1 複数祭神と相殿を同一視しない

祭神名が複数並ぶことと、同じ殿内に祀られることは別の問題です。祭神数だけで相殿と判断すると、春日大社の四棟本殿や宇佐神宮の三御殿のような祭祀構成を見落とします。

11-2 史料上の神名併記と同殿奉斎を区別する

六国史の一つの記事に複数神が記されていても、同時の神階授与や同じ地域の神々をまとめた記録かもしれません。同殿奉斎を確認するには、祭神配置を伝える別の史料が必要です。

11-3 『延喜式』の座数は神殿数ではない

「二座」「三座」は祭祀対象となる神の座数を示しますが、本殿の棟数や内部区画を直接表しません。座数を現代の社殿配置図へ置き換えることは避けます。

11-4 相殿から祭祀の変遷を読み取る

相殿には、創建時の祭神関係だけでなく、勧請、遷座、社殿再建、神社合祀など、神社がたどった歴史が反映されます。現在の祭神名を確認するだけでなく、いつどのような経緯で同じ殿に祀られたかを見ることが、相殿を理解する鍵になります。

第12章 関連項目(See also)・内部リンク

相殿とあわせて確認したい関連記事

関連項目 URL 相殿との関係
分霊 https://shrineheritager.com/bunrei/ 神の御神霊を新たな場所に奉斎する考え方です。
春日大社 https://shrineheritager.com/kasuga-taisha-shrine/ 相殿と複数本殿の違いを確認できます。
宇佐神宮 https://shrineheritager.com/usa-jingu/ 相殿と複数御殿の違いを確認できます。

第13章 参考文献

13-1 一次史料

  • 『延喜式』巻四「伊勢太神宮」
  • 『延喜式』巻九・巻十「神名帳」
  • 『日本三代実録』巻二、貞観元年正月27日条
  • 各神社所蔵の社記・縁起・棟札・造営記録

13-2 辞典・研究資料

  • 國學院大學デジタル・ミュージアム「Encyclopedia of Shinto 相殿」
  • 『国史大辞典』吉川弘文館。
  • 『神道大辞典』平凡社。
  • 神社建築史・神社合祀に関する研究書および自治体文化財資料。

第14章 External Links(外部リンク)

国立国会図書館デジタルコレクション

六国史・『延喜式』・近代神社誌料などの原本画像を確認するために参照します。

URL: https://dl.ndl.go.jp/

国文学研究資料館「国書データベース」

古典籍の書誌、所蔵情報、公開画像を確認するために参照します。

URL: https://kokusho.nijl.ac.jp/

國學院大學デジタル・ミュージアム

相殿の用語解説と、古代神社史料にみえる相殿・合殿の用例を確認するために参照します。

URL: https://d-museum.kokugakuin.ac.jp/

丹生川上神社公式サイト

本殿の主祭神・罔象女神と、相殿神・伊邪奈美命、伊邪奈岐命の公式表記を確認するために参照します。

URL: https://niukawakami-jinja.jp/about/

第15章 更新履歴(Revision History)

相殿の記事更新履歴

日付 更新内容
Edition 1 Official Master 2026年8月14日 Version 5.3準拠。相殿・合祀・配祀・別殿・相殿造を再整理し、古代史料、代表例、比較例、内部リンクと投稿IDを再監査しました。

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宇佐八幡宮五所別宮(usa hachimangu gosho betsugu)は 朝廷からも厚く崇敬を受けていました 九州の大分宮(福岡県)・千栗宮(佐賀県)・藤崎宮(熊本県)・新田宮(鹿児島県)・正八幡(鹿児島県)の五つの八幡宮を云います

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行幸会は 宇佐八幡とかかわりが深い八ケ社の霊場を巡幸する行事です 天平神護元年(765)の神託(shintaku)で 4年に一度 その後6年(卯と酉の年)に一度 斎行することを宣っています 鎌倉時代まで継続した後 1616年 中津藩主 細川忠興公により再興されましたが その後 中断しています 

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對馬嶋(つしまのしま)の式内社とは 平安時代中期〈927年12月〉に朝廷により編纂された『延喜式神名帳』に所載されている 対馬〈対島〉の29座(大6座・小23座)の神社のことです 九州の式内社では最多の所載数になります 對馬嶋29座の式内社の論社として 現在 67神社が候補として挙げられています