大年神(おおとしのかみ)・羽山戸神(はやまとのかみ)の系譜
〈大国主神が 耕作の神として 時間・空間を越えた支配と統治を神格化したものか〉
〈穀物神〉大年神(おほとしのかみ)は 『古事記』には 須佐之男命と神大市比売(かむおおいちひめ・大山津見神の娘)の御子神と記されます 兄弟神には 宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)があり これも〈穀物神〉です
さらに 大年神と香用比売(かぐよひめ)の御子神に〈穀物神〉御年神(みとしのかみ)が続きます
羽山戸神(はやまとのかみ)は 山の麓の神で 耕作から収穫までの一年の農耕の模様を意味する神とされます
・大歳社〈出雲大社 境外末社〉《主》大歳神(おほとしのかみ)
素戔鳴尊(すさのをのみこと)の御子神 五穀を守護される神
〈耕作に関する大国主神の支配する時間・空間の神格化とする説があり〉
大歳社(おおとしのやしろ)は 出雲大社の境外末社です 御祭神の大歳神(おおとしのかみ)は 須佐之男神(すさのをのかみ)の御子神であり 田圃(たんぼ)や畑の守護神で 穀物の豊穣をお護りになる功徳ある神です
大歳社〈出雲大社 境外末社〉(出雲市大社町)
・葛木御歳神社(御所市東持田)《主》御歳神(みとしのかみ)
葛木御歳神社(かつらぎみとしじんじゃ)は 葛城氏・鴨氏の氏神・高鴨神社〈高鴨社〉・葛城御歳神社〈中鴨社〉・鴨都波神社〈下鴨社〉で 全国の賀茂社・加茂社の総本社でもあります 又 御歳神(みとしのかみ)を祀る全国の御歳神社・大歳神社の総本社を称します『延喜式神名帳927 AD.』所載 大和国 葛上郡 葛木御歳神社(名神大 月次新嘗)です
葛木御歳神社(御所市東持田)
『古事記(Kojiki)〈和銅5年(712)編纂〉』 に記される伝承
【抜粋意訳】
大年神(おほとしのかみ)が
神活須毘神(かむいくすびのかみ)の娘 伊怒比売(いのひめ)を娶り 産んだ子は 大国御魂神(おほくにみたまのかみ)
次に韓神(からのかみ)次に曽富理神(そほりのかみ)次に白日神(しらひのかみ)次に聖神(ひじりのかみ)
五神です
又 大年神(おほとしのかみ)が
香用比売(かぐよひめ)を娶り 産んだ子は 大香山戸臣神(おおかぐやまとみのかみ)次に御年神(みとしのかみ)
二神です
又〈大年神(おほとしのかみ)が〉
天知迦流美豆比売(あめしるかるみづひめ)を娶り 産んだ子は 奥津日子神(おきつひこのかみ)次に奥津比売命(おきつひめ) 亦名(またのな)は 大戸比売神(おほべひめのかみ)
これは人々が祀る 竃(かまど)の神
次に
大山咋神(おほやまくいのかみ) 亦名(またのな)は 山末之大主神(やますえのあほぬしのかみ)これは 近江国(おうみのくに)日枝山(ひえのやま)〈比叡山〉また 葛野の松尾に坐(ましま)し 鳴鏑(なりかぶら)に 用(なりませる)神なり
次は庭津日神(にはつひのかみ)次に阿須波神(あすはのかみ)次に波比岐神(はひきのかみ)次に香山戸臣神(かくやまとみのかみ)次に羽山戸神(はやまとのかみ)次に庭高津日神(にわのたかつひのかみ)次に大土神(おほつちのかみ) 亦名(またのな)は 土之御祖神(つちのみおやのかみ)
九神
上件(かみのくだり)大年神(おほとしのかみ)の子 大国御魂神(おほくにみたまのかみ)から 大土神(おほつちのかみ)まで合せて十六神
さて
羽山戸神(はやまとのかみ)が
大気都比売神(おほげつひめのかみ)を娶り 産んだ子は 若山咋神(わかやまくひのかみ)
次に若年神(わかとしのかみ)次に妹若沙那売神(いもわかさなめのかみ)次に彌豆麻岐神(みづまきのかみ)次に夏高津日神(なつのたかひのかみ) またの名を 夏之売神(なつめのかみ)次に秋毘売神(あきひめのかみ)次に久々年神(くくとしのかみ)次に久々紀若室葛根神(くくきわかむろつなねのかみ)
上件(かみのくだり)羽山戸神(はやまとのかみ)の子 若山咋神(わかやまくひのかみ)以下(よりしも) 若室葛根神(わかむろつなねのかみ)以前(まで) 併せて八神
【原文参照】
⑭豊葦原之千秋長五百秋之水穂国(とよあしはらのちあきながいほあきのみずほのくに) に進む
天照大御神(あまてらすおほみかみ)は この 葦原中国(あしはらのなかつくに)は 我が子 正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)が 治める所の国であると定めた と命を下された 天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)が 天浮橋(あまのうきはし)に立たれて 下界を眺めると「豊葦原之千秋長五百秋之水穂国(とよあしはらのちあきながいほあきのみずほのくに)は ひどく騒がしく有るな」と言われた
⑭豊葦原之千秋長五百秋之水穂国(とよあしはらのちあきながいほあきのみずほのくに)
”時の架け橋” 大国主神(おほくにぬしのかみ)
『古事記』に登場する神話の舞台 に戻る
大国主神(おほくにぬしのかみ)が 坐(ましま)す 古代出雲の神代の舞台へ行ってみたい 降積った時を振り払うように 神話をリアルに感じたい そんな私たちの願いは ”時の架け橋” があれば 叶うでしょう 『古事記(こじき)』〈和銅5年(712)編纂〉に登場する神話の舞台は 現在の神社などに埋もれています それでは ご一緒に 神話を掘り起こしましょう
”時の架け橋” 大国主神(おほくにぬしのかみ)『古事記』に登場する神話の舞台