八柱神社（明和町上村）〈『延喜式』天香山神社〉

八柱神社（やはしらじんじゃ）は　元は゛八王子゛と号し上村の産土神でした　明治45年（1912）竹神社（明和町斎宮）に合祀　　その後　昭和45年（1970）かまくら古墳の墳丘上に　小祠を設け分祠されました　付近には゛カゴ山゛と号する〈カゴ山古墳〉があり　延喜式内社　伊勢國 多氣郡 天香山神社（あまのかぐやまの かみのやしろ）の論社です

1.ご紹介（Introduction）

　この神社の正式名称や呼ばれ方　現在の住所と地図　祀られている神様や神社の歴史について　ご紹介します

【神社名(Shrine name）】

八柱神社（Yahashira shrine）

【通称名(Common name)】

【鎮座地　(Location)　】

三重県多気郡明和町上村かまくら

【地　図 (Google Map)】

【御祭神　(God's name to pray)】

《主》八柱の神
〈天之忍穗耳命 天之菩卑能命 天津日子根命 活津日子根命 熊野久須毘命 多紀理毘賣命 市寸島比賣命 多岐津比賣命〉

【御神徳　(God's great power)】（ご利益）

【格　式　(Rules of dignity) 】

・『延喜式神名帳（engishiki jimmeicho ）927 AD.』所載社

【創　建　(Beginning of history)】

『斎宮村郷土読本』に記される内容

【抜粋意訳】

八柱神社（大字上村）

大字上村の産土神で、元は『八王子』と申しました。

祭神は八柱神です。

上村郷が建置された當時から奉祀したものだと傳へられてゐます。

【原文参照】

【由　緒　(History)】

『大神宮叢書』に記される内容

【抜粋意訳】

天香山（アマノカゴヤマノ）神社

　此社名の香山地名なり。下に委くすへし。
考証に云く。在に保津村の産神歟、といへり。保津村の産神は村の中に在りて八王子と稱す。本社に配すべき憑據ある事なし。
案内記には、保津村に坐す、里人耕作（コウサク）の宮と云ふと、遺響等これ従へり。其祠に所由ありやと検するに、産神とは別にして、宮吉右衛門といふ者の屋舎の西庭に東面の小祠あるを謂ふなり。耕作ノ宮と云へるは訛稱にて、舊き造替寄付帳に、高崎（コウサキ）ノ宮と載す。其カウサキを香山（カウサン）に牽強して本社に配するなり。信従するに足らず。其 吉右衛門が家は高崎ノ宮の城内に居住するものにして、氏を宮と唱ふ。其口傳に、太神宮の摂社の由 傳へ来ると云ふ。
　依て按るに、機殿儀式帳に、機殿を立つに長田郷に其處に立て社を號す麻績社、亦は名くに河崎社と、とある河崎を音便に カウサキと訛稱せるにて、是即　麻績社の遺蹟なるければ、本社に牽強すべからず。
　又傍注には、立利村木玉社といひ、中西直万の参宮案内記には、度會郡東原村の國東山に大神宮胞塚と云ふ小詞のあるを牽強せれと、共に浮妄の謬説にて、論辨するにも及ばず。

　是を以て郡内を検索するに、宇爾郷 上村（ウハムラ）の東南にカゴ山と號する小山あり、麓の田をも カゴ山、或は北カゴ山、南カゴ山など字せり。其山の乾位一町許に上村の産神社ありて千古の舊風を存す。
社東に金剛山大日寺及民家ありて域に迫ると雖も、猶其 境界は巡れる溝を以て分つべし。域内に一大塚あり。域外の東にも又 大塚あり。舊地たる事一日撃して知らる。香山ノ神社は此社に定むべし。
但里民は宇田ノ森なりとて、灯籠の石柱に俊頼朝臣の宇田の畔よりの歌を彫したるを誇れど、大海田社なりとも云はねば妨ある事なし。

然して神代ノ巻口决云く、一書に曰く、天火明ノ命の兒 天香山は、是尾張ノ連等祖也、天香山者、伊勢國多氣郡在すに天香山ノ神社に也、と注せり。此命を奉祀するか。
さて又姓氏録に、天香山命は笛吹連の祖なる由見に、天香山の竹を笛に作始めし事 鎮座本紀に載せたるに、度會元長神祇百首和歌の自註に云く、百枝刺竹、齋宮に在、昔天ノ香具山の竹を根こしにして植けるとぞ、竹の都と云ふ、と載りたり。恐らくは風土記の遺傳にして、本社に所由のありけるなるべし。

【原文参照】

【神社の境内　(Precincts of the shrine)】

【神社の境外　(Outside the shrine grounds)】

・旧 社地

大日寺の東南隅に所在していたとされます　式内 竹神社に合祀後の圃場整備で失われました　この辺り〈大日寺の南に広がる田圃〉か?

・竹神社（明和町斎宮）

八柱神社（明和町上村）は　明治45年（1912）5月23日　大字齋宮の式内 竹神社に合祀

　その後　昭和４５年（1970）に氏子らの総意により　旧社地西方５０ｍ程の地にあるかまくら古墳の墳丘上に　小祠を設け分祠されました

・竹神社（明和町斎宮）

この神社の予備知識(Preliminary knowledge of this shrine)

この神社は　大和朝廷による編纂書〈六国史・延喜式など〉に記載があり　由緒（格式ある歴史）を持っています

〇『六国史（りっこくし）』
　　奈良・平安時代に編纂された官撰（かんせん）の6種の国史〈『日本書紀』『續日本紀』『日本後紀』『續日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代實録』〉の総称

〇『延喜式（えんぎしき）』
　　平安時代中期に編纂された格式（律令の施行細則）

〇『風土記（ふどき）』
　『続日本紀』和銅6年（713）5月甲子の条が　風土記編纂の官命であると見られ　記すべき内容として下記の五つが挙げられています

1.国郡郷の名（好字を用いて）
2.産物
3.土地の肥沃の状態
4.地名の起源
5.古老の伝え〈伝えられている旧聞異事〉

現存するものは全て写本

『出雲国風土記』がほぼ完本
『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態

『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』(927年12月編纂)に所載〈This record was completed in December 927 AD.〉

『延喜式（Engishiki）律令の施行細則 全50巻』〈平安時代中期 朝廷編纂〉
その中でも巻9・10を『延喜式神名帳（Engishiki Jimmeicho）』といい　当時〈927年12月編纂〉「官社」に指定された全国の神社（式内社）の一覧となっています

・「官社（式内社）」名称「2861社」
・「鎮座する天神地祇」数「3132座」

[旧　行政区分]（Old administrative district）
(神様の鎮座数）東海道　731座…大52（うち預月次新嘗19）・小679

[旧　国　名　]（old county name）
(神様の鎮座数）伊勢國　253座（大18座・小235座）

[旧　郡　名　]（old region name）
(神様の鎮座数）多氣郡　52座（並小）

[名神大 大 小]　式内小社

[旧　神社　名称 ] 天香山神社
[ふ　り　が　な ]（あまのかごやまの かみのやしろ ふたくら）
[Old Shrine name]（Amano kagoyama no kaminoyashiro）

【原文参照】

【オタッキーポイント】（This is the point that Otaku conveys.）

あなたが　この神社に興味が湧くような予備知識をオタク視点でご紹介します

延喜式内社　伊勢國 多氣郡 天香山神社（あまのかぐやまの かみのやしろ）の論社

・天香山神社（松阪市保津町）

・八柱神社（明和町上村）

【神社にお詣り】(Here's a look at the shrine visit from now on)

この神社にご参拝した時の様子をご紹介します

近鉄山田線　斎宮駅より県道529号を南西方向へ約3.3km　車で7分程度

旧 社地は　大日寺の東南隅に所在していたとされます

大日寺を右手に見て　社頭は東を向いています

八柱神社（明和町上村）に参着

一礼をして　鳥居をくぐります

鳥居をくぐって境内は落ちついた雰囲気です

本殿の祠は　かまくら古墳の墳丘の上に祀られています

墳丘に上がる石段があり　鳥居が建てられています

本殿にすすみます

賽銭をおさめ　お祈りをします
ご神威に添い給うよう願いながら礼　鎮まる御祭神に届かんと　かん高い柏手を打ち　両手を合わせ祈ります

祠に一礼をして　境内参道を戻ります

【神社の伝承】(I will explain the lore of this shrine.)

この神社にかかわる故事や記載されている文献などをご紹介します

『神社覈録（Jinja Kakuroku）〈明治3年（1870年）〉』に記される伝承

式内社　天香山神社について　所在は゛保津村に在す、服部機殿南也、゛〈現　天香山神社（松阪市保津町）〉と記しています

【抜粋意訳】

天香山神社

天香山は阿米乃加語夜萬と訓べし

○祭神詳ならず

○保津村に在す、服部機殿南也、〔考證〕今 飯野郡に属す、

○神名秘書曰、舊記云、神衣祭者、皇太神宮御に座 高天原之昔、人面等之遠祖天八千々媛、殖に桑葉於天香山、以に所蠶之御糸 織供に進御衣、

【原文参照】

『神祇志料（Jingishiryo）』〈明治9年（1876）出版〉に記される内容

式内社　天香山神社について　所在は゛今 宇尓郷上村字南北香山の乾一町許に産神あり、即是也、゛〈現　八柱神社（明和町上村）〉と記しています

【抜粋意訳】

天香山（アマノカゴヤマノ）神社

今 宇尓郷上村字南北香山の乾一町許に産神あり、即是也、（伊勢國式内検録）

天香語山命を祭る、〔神代巻口訣〕

【原文参照】

『特選神名牒（Tokusen Shimmyo cho）〈明治9年（1876）完成〉』に記される伝承

式内社　天香山神社について　所在は゛今按るに保津村に在りと雖も證なし゛〈現　天香山神社（松阪市保津町）〉とはあるが　確証はない　と記しています

又　所在について゛宇爾郷上村にかご山といふ山あり其麓に産神の舊社あり是ならむか゛〈現　八柱神社（明和町上村）〉とも記しています

【抜粋意訳】

天香山神社

祭神
祭日
社格

所在

　今按るに保津村に在りと雖も證なし　檢錄に宇爾郷上村にかご山といふ山あり其麓に産神の舊社あり是ならむかと云へり

【原文参照】

八柱神社（明和町上村）に「拝 (hai)」(90度のお辞儀)

伊勢国　式内社　253座（大18座・小235座）についてに戻る