大穴牟遅神は 愛と力を手に入れ 大国主神(おほくにぬしのかみ)として 国を造る神として描かれる
大穴牟遅神は 妻の須勢理毘売と須佐之男命の宝物の弓・矢・琴を持って 根堅州国から逃亡すると
須佐之男命(すさのをのみこと)は 追いかけて来て 言われました「お前が持つ 弓・矢で八十神(やそがみ)を追い伏せ 大国主神(おほくにぬしのかみ)と名乗れ
そして 我が娘 須勢理毘売(すせりびめ)を 妻と迎え 盤石の岩盤に太い宮柱を立て 天高く棟木を立て 宮殿を造れ こやつ」
大国主神は その大刀と弓を持って 八十神(やそがみ)を追避(おいさけ)て 国を作り始められた
・來次神社(雲南市木次町)《主》大己貴命
『出雲国風土記』には
〈大原郡 来次郷の条に 來以郷(きすきのさと)は 大己貴命が 八十神(やそがみ)を追廃(おいしりぞける)故事から 名付けられた〉と記されます
來次神社(きすきじんじゃ)は 『延喜式神名帳927 AD.』に「こすきのかみのやしろ」『出雲國風土記733 AD.』には「支須支社(きすき)のやしろ」と記され 來以郷(きすきのさと)は 大己貴命が 八十神(やそがみ)を追廃(おいしりぞける)た故事から 名付けられたと記されています
來次神社(雲南市木次町木次)
・三屋神社 旧跡地〈松本古墳群〉《主》大己貴命
『出雲國風土記733 AD.』には
「所造天下大神(あめのしたつくらししおおかみ)〈大国主大神〉の御門 すなわち此の処にあり 故に三刀矢(みとや)と云う」とあり 大国主大神が八十神を追い払い 宮居を定め国土経営を始められた所で 飯石郡 神祇官社「御門屋社(みとや)のやしろ」とされます
三屋神社旧跡地(みとやじんじゃきゅうせきち)は 飯石郡 神祇官社「御門屋社(みとや)のやしろ」の旧跡地で 現在地より南に300m程 松本古墳群の古墳の上に 社があったと伝ります 当社所蔵の延喜の棟札の裏書きに「大己貴命 天下惣廟神明也云々」とあり 古墳群との関連が示唆されています
三屋神社旧跡地〈松本古墳群〉(雲南市三刀屋町給下)
・三屋神社(雲南市三刀屋町給下)《主》大己貴命
現在 三屋神社(雲南市三刀屋町給下)の鎮座地は 松本古墳群の北に鎮座します
三屋神社(みとやじんじゃ)は 『出雲國風土記733 AD.』に「所造天下大神(あめのしたつくらししおおかみ)の御門 すなわち此の処にあり 故に三刀矢(みとや)と云う」とあり 大国主大神が八十神を追い払い 宮居を定め国土経営を始められた所で 飯石郡 神祇官社「御門屋社(みとや)のやしろ」とされます
三屋神社(雲南市三刀屋町給下)
『古事記(Kojiki)〈和銅5年(712)編纂〉』 に記される伝承
【抜粋意訳】
ここに〈大穴牟遅神が〉その大神〈寝ている須佐之男命〉の髪を握りながら 室(むろ)〈部屋〉の垂木(たるき)〈柱〉ごとに結び付け 五百引石(いほびきいわ)〈500人で引くような大岩〉で その室(むろ)の戸口を塞(ふさ)ぎ
その妻 須勢理毘売(すせりびめ)を背負い 取って持ったのは 大神〈須佐之男命〉の生大刀(いくたち)生弓矢(いくゆみや)天詔琴(あめののりこと)
しかし 逃げ出す時に 天詔琴(あめののりこと)が 樹(き)に触れて 地が 鳴動(とどろき)ました
その所に寝ていた 大神〈須佐之男命〉は 驚いて立ち上り その室(むろ)が引き倒されました
しかし 柱に結ばれた髪をほどく間に〈大穴牟遅神は〉遠くへ逃げてしまわれた
〈須佐之男命は〉黄泉比良坂(よもつひらさか)まで追い至り 遥かに望むと 大穴牟遅神(おほなむじのかみ)を呼び 言いました
「お前が持つ 生大刀(いくたち)生弓矢(いくゆみや)を以って
お前の 庶兄弟(あにおとうとども)を 坂に追い伏せ また 川の瀬に追い払い
意礼(おれ)大国主神(おほくにぬしのかみ)となり また 宇都志国玉神(うつしくにたまのかみ)となりて
その我が娘 須勢理毘売(すせりびめ)を 妻と嫡(め)して迎え
宇迦能山(うかのやま)の山本(やまもと)〈麓〉に 底津石根(そこついわね)〈盤石の岩盤〉に 宮柱布刀斯理(みやばしらふとしり)〈太い宮柱を立て〉 高天原(たかまのはら)に氷椽多迦斯理(ひぎたかしり)〈天高く棟木を立て〉居れ〈そこにおれ〉 是奴(こやつ)」と言われました
〈大国主神は〉その大刀と弓を持って 八十神(やそがみ)を追避(おいさける)時に 坂の御尾〈坂下〉に追伏せ 河の瀬に追払い 国を作り始められた
【原文参照】
➆木俣神(きのまたのかみ) 亦名(またのな)は 御井神(みいのかみ) に進む
大穴牟遅神(おほなむじのかみ)は 婚約していた 稻羽(いなば)の八上比売(やがみひめ)を出雲へと率いて来られた しかし〈八上比売は〉正妻 須勢理毘売(すせりびめ)を恐れて 生まれた子供を木の股に挟んで〈木俣神(きのまたのかみ)〉〈稲羽へ〉引き返されました
➆木俣神(きのまたのかみ) 亦名(またのな)は 御井神(みいのかみ)
”時の架け橋” 大国主神(おほくにぬしのかみ)
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大国主神(おほくにぬしのかみ)が 坐(ましま)す 古代出雲の神代の舞台へ行ってみたい 降積った時を振り払うように 神話をリアルに感じたい そんな私たちの願いは ”時の架け橋” があれば 叶うでしょう 『古事記(こじき)』〈和銅5年(712)編纂〉に登場する神話の舞台は 現在の神社などに埋もれています それでは ご一緒に 神話を掘り起こしましょう
”時の架け橋” 大国主神(おほくにぬしのかみ)『古事記』に登場する神話の舞台